出版社内容情報
世間は「かけがえのない個性」を謳う。
内容説明
渡辺展子はいつも「ついてない」と思っていた。中学でできた親友は同じ苗字なのに学校一の美女・久美。同じ「渡辺」でも、注目されない方の「渡辺」になった。絵が好きで美術部に入るが、そこでは「一風変わった絵」を描くだけの同級生がなぜか注目を集め評価されてしまう。就職活動をしてみれば、仲良し四人組の中で自分だけ内定が取れない。幸せな結婚生活を夢見ていたのに、旦那の会社が倒産する…。“選ばれなかった”女性の、それでも幸せな一生を描く。
著者等紹介
桂望実[カツラノゾミ]
1965年東京都生まれ。大妻女子大学卒業。会社員、フリーライターを経て、2003年、『死日記』でエクスナレッジ社「作家への道!」優秀賞を受賞しデビュー。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
210
「展子には遣り直す時間がある」「いつだって遣り直せるんだよ」そう言ってくれる友がいるだけで展子は幸せだと思う。十分恵まれている事は案外本人が一番気づかなかったりする。自分はついてない・・そう思った事は無いか?私はあった。それは人と比べたから。何かの所為にして努力や感謝を怠ったから。それはとても疲弊する。人生はオーディションばかりでは無い。自分の人生の主役は自分自身だもの、誰もが懸命に生きているのだ。心地よいラストに、これは人生応援小説であり家族の話でもあった。2019/03/05
ナイスネイチャ
173
図書館本。人生はオーディションの連続という切り口で話が進むが、あまりその辺は関係なかったかな?パン屋を引き継いだ長女が悪戦苦闘する話。登場人物に共感出来なかったが、読みやすく楽しめました。2019/04/08
のぶ
145
一人の女性の生き方を描いた物語としては面白く読んだが、タイトルのオーディションとの関係については、あまり噛み合っていないと思った。主人公の渡辺展子は、幼い時から平凡な女性だと思って生きてきた。受験、就職、結婚等の転機をオーディションになぞらえているのだが、それは最初の100ページあたりまで。ここまでは駆け足の展開だった。その後、夫の経営するパン屋での話になって行く。やがて経営が傾き、夫の会社が倒産する。幸せな生き方を見つめた作品としては良く出来ているので、タイトルを意識しないで読んだ方が良いと思う。2019/03/02
ゆみねこ
130
いつも他人と自分を比べて「ついてない」と思って生きてきた渡辺展子。生真面目で一生懸命な展子が幸せをつかむまで。タイトルはもうちょっと違うほうが良いような。面白かったので読後感は良かったです。2019/03/04
milk tea
115
オーディションという言葉がしっくりこなかったけど、そう例えるなら、人生は常にオーディション。生きづらくないですか?だめなら元に戻す。軌道修正して、これからのことを考えればいいと思う。デパートに出店を依頼する担当者っていけず。2020/12/11