内容説明
大阪府警薬物対策課の桐尾と上坂は覚醒剤密売捜査の最中、容疑者宅で想定外のブツを発見した。発射痕のある中国製のトカレフ―迷宮入りしている16年前の和歌山・南紀銀行副頭取射殺事件で使用された拳銃だった。ふたりは拳銃を調べる専従捜査を命じられ、射殺事件を担当していた和歌山県警の満井と手を組む。しかし、満井は悪徳刑事だった。桐尾と上坂は、事件当時に犯人と目されていた暴力団幹部に、発見した拳銃と同じものを売りつけるよう、満井に持ち掛けられる。金さえあれば、いつでもあの女を抱ける―。黒い欲望が、刑事を危険すぎる囮捜査に走らせる。
著者等紹介
黒川博行[クロカワヒロユキ]
1949年3月4日、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学美術学部彫刻学科卒業。大阪府立高校の美術教師を経て、83年、「二度のお別れ」が第1回サントリーミステリー大賞佳作。86年、「キャッツアイころがった」で第4回サントリーミステリー大賞を受賞。96年、「カウント・プラン」で第49回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミーコ
73
前半 これはイマイチかも・・・と思って読んでいましたが後半 どんどん面白くなって行きます。刑事3人 いったい どうなるのか❔と読む手が止まらない…。悪徳刑事の満井さんも憎めないし。やるか やられるかドキドキして先が気になります。うーん 最後のオチは こう来たか!とー。ツメが甘かった様です。いつもほどのパンチの効いた会話では無かったけど、面白かったです。未読の作品は全て読んでみたくなります。2016/03/14
R
56
大阪府警を舞台にした、刑事たちの日常と生き方、仕舞い方をシリアスに描いた小説でした。謎解きあり、サスペンスありという内容ながら、いわゆる刑事モノの面白さとは別の、刑事という一種のサラリーマン生活みたいな、身近とは違う生活部分、仕事部分を淡々と描いていました。見張りや、聞き込み、はては脅迫まがいのやりとりまで、いかにもな仕事風景が続き、やがて組織という一種の魔物めいたものにあたり、祟られたかのような終わりが描かれていて、面白いけど考えさせられました。本当にこんな感じなんだろうかな。2017/05/31
ケイ
42
どうも落としどころの難しい話だと思いながら読んでたけど、最後はそうなるか。後味がよくないな。そう言えば、バブルの終わりごろは銀行や大企業の重役が狙われる事件が多かったなと思い出す2013/11/20
kei302
39
2019年新作「桃源」の上坂が30代半ばのころの事件。これが原因で上坂は本部から出された。大阪府警 薬物対策課所属。地道に捜査。時々活躍している。二人の会話が絶妙。 薄毛で小太り勤ちゃん「わしは幼稚園のときからずっと肥満児でやってきた 痩せた自分は想像できん アイデンティティーの喪失や」桐尾「アイデンティティーな・・・」。そんな二人が和歌山県警の悪徳刑事:満井との関わりで影響を受け染まっていく。どんなことで足元をすくわれるか分からない。咲き誇った桜の花びらは散ってゆく.. 2019/12/10
キムチ27
36
大阪府警薬物対策課の2人の刑事がとある捜査の最中に発見したトカレフ、長い眠りの果てに目覚めたにしてはきな臭い騒動を巻き起こす結果に繋がる。専従捜査を命じられ仲間に加わった和歌山県警の満井は呆れ果てる刑事。3人の暴走の道すがらにはしゃぶ・女・酒が溢れる。クライムサスペンスとは云えず、脂ぎったナニワの警察話。桐尾と上坂の話は地名は大阪近辺に住んでいないと今一かも。痛風持ちの上坂の容貌が浮かぶ描写には笑うが、登場する映画の名はご愛嬌。中盤過ぎから散逸になり、だるかった。実際の迷宮入り事件が土台になっている。2014/09/21