内容説明
２００３年２月。２１世紀の建設業界を力強くリードする会社を目指し、前田建設内に「ファンタジー営業部」が設置されました。受注に関し「同じパイを取り合う」と評される建設業界において、他社が一切未参入の分野、つまり奇跡的に手つかずの「パイ」が、映画、テレビ、マンガの「劇中の世界」だと気づいた時、前田建設は迷わず「空想世界対話装置」の開発に着手、見事完成させたのです。そこに広がっていたのは価格競争だけでなく、難しい課題を解決する技術力と想像力が本当に試される世界でした。かつてアニメに描かれた科学は今や空想ではない！実在の大手ゼネコンが、「マジンガーＺ地下格納庫一式工事」に真剣に取り組みました。予算７２億円、工期６年５ヵ月（ただし機械獣の襲撃期間を除く）で引き受けます。
目次
プロローグ 架空の建造物を思い描いた、すべての方々へ
１ ファンタジー営業部颯爽登場
２ 汚水処理場の夕陽に咲くマジンガー
３ 兜博士の遺産
４ グシオスβ３の歌が聞こえる
５ 立坑の掘り方教えます
６ 掘削法面は立っているか
７ 水槽３００ｔの水圧
８ ジャッキアップ超特急
９ 積算はいかが
１０ ファイルＰｒｏｊｅｃｔ ０１を提出せよ
付録「マジンガーＺ格納庫・模型」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七色一味
43
読破。ファンタジーな世界に、現実的に真面目に？アプローチしたドキュメンタリーでありサイエンス（ノン）フィクション。人物がABCDだった時はまだ現実味なかったけど、実社名+実名+顔写真次で出てくると、こいつら（失礼）マジなんだ（爆）になる。この金額で、自宅の庭にマジンガーZの秘密基地…。作る人はいるか？（マジンガーZ本体、パイルダーは別売り）2020/06/07
oldman獺祭魚翁
39
図書館 前回のビブリオバトルで爆笑の大ウケをしてチャンプ本をとった１冊 実際の建設会社がアチャラ側の世界から、実際の受注をうけてキチンと検討。これが凄く真面目で読んでいくときちんとした土木の勉強になるといった本です。一体文化系なのか理科系なのか解らない一冊ですが、文化系の人間にも良く解るように説明されていて、きちんと積算の方法も説明されています。既に三巻めまで出ている隠れた人気シリーズ。ホラホラ アニキの歌声に夢中になった君。読んでみたら？2019/11/23
メタボン
34
☆☆☆☆ マジンガーZの格納庫の建設を「空想世界対話装置」により光子力研究所から前田建設工業が受注するという、ぶっとんだ発想のお話。実在するゼネコンとして大真面目に検討しているところが、ゼネコン魂を感じられて良い。難しい技術面の話も、アニメの夢を現実化するという視点から、興味を引く形で書かれているので、楽しく読めた。改めて前田建設工業のHPも覗きに言って見ると、その詳細な工事内容や、ストーリ性のある記事に、惹き込まれてしまった。2020/10/25
panashe
27
映画が面白かったので読んでみた。2003年2月に前田建設工業の社内webで掲載されたもの。この頃、ゼネコンは大変厳しい時期だったはずなのにこんなにユニークな発想と、お金にもならない”ファンタジー営業部”なるものを作った前田建設に脱帽。マジンガーZの格納庫の設計及び積算。 3Kや談合などのゼネコンの悪イメージを払拭する、今の時期なら就活生を呼ぶにはうってつけの企画だと思う。 マジンガーZ以外にも色々手掛けているようで、今は「ロケットパンチ編」らしい笑 ”土木の前田”頑張ってください。 2020/02/19
ゲオルギオ・ハーン
25
マジンガーＺの格納庫を作るにはどういう工法でどれくらいかかるのかを前田建設（ゼネコン）と取引企業の知恵を結集し、積算した一冊。架空の施設を積算するなんて難航するかと思いきや、ファンタジー営業部の相談を受ける各部署・仕入先はあっさりと回答（これまでの実績で部分的に似た工事があるので応用できるとか）し、さらに改善提案までしてしまうのだから日本の建設業のスゴさに驚いてしまう。また、工事だけでなく、光子力研究所が富士山の近くにあることから自然や地下水への配慮も怠っていないことには感服してしまった。2023/10/07
