天使の代理人

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 349p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784344006195
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

平成3年、生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子がその時見たものは、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔だった。罪の償いのため生きていくことを決意する冬子。その日から決して声高に語られることのない、生を守る挑戦が始まった。平成15年。冬子は助産婦をしながら“天使の代理人”という組織を運営していた。社会的地位を獲得することを目標に生きてきたものの、突然銀行でのキャリアを捨て精子バンクを利用して出産を決意した川口弥生、36歳。待望の妊娠が分かった直後、人違いで中絶させられた佐藤有希恵、26歳。何も望まぬ妊娠のため中絶を考えたものの産み育てることを選んだ佐藤雪絵、20歳。それぞれの人生と“天使の代理人”が交錯し、ひとつの奇蹟が起ころうとしていた―。

著者等紹介

山田宗樹[ヤマダムネキ]
1965年愛知県生まれ。98年「直線の死角」で第18回横溝正史賞を選考委員会満場一致で受賞。2003年に発表した『嫌われ松子の一生』が大ベストセラーとなる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょろこ

79
羅針盤のようになって欲しい、一冊。衝撃的なシーンで始まった、命についてのストーリー。夢中になって読んだ。そしてラストは涙した。自分で決断した人、理不尽な思いをした人、立場が違えば命についてそれこそ千差万別の考え方があることを今までの中で一番突きつけられた気がした。胎児がヒトかどうかというよりも、一つの命が今そこにある、それが最も感じるべき大切なことなんだろうな。この作品が、苦しみやつらさを経験した人が、これから命に向き合い迷う人を最適な道へと導く羅針盤のようになって欲しい、そう感じた一冊。2018/06/08

nyaoko

66
何とかしてお腹に宿った命を大切にしてほしい、この世に生み出してほしい、中絶をしようとする女達を説得する「天使の代理人」彼女達の熱意はわかる、けれども決して共感は出来ない。だからこそ、作中の女性達も葛藤し、反発する。中絶か出産か、両極端な命の選択はどちらが正しいのか、それは誰にも分からない。ずっと苦しんでいた彼女達が、終盤で命を目の当たりにする現場に向きあう事となり、彼女達の中で何かが変わった。失った命も、生まれてきた命も、丸ごとすべて彼女達は受け止める。まさに命とは未来。素敵なラストでした。2015/10/06

61
少子化が深刻な問題になっている一方で毎年30万人以上の胎児が中絶されている現実。何が正解とは言えない辛くて重いテーマでした。2016/12/13

おかだ

60
めちゃめちゃ心に響いた。女性のお腹の中にいる胎児の捉え方について、深く考えさせられた。私にとっては、受精完了のその瞬間・細胞分裂の段階から胎児は1人の人間、という認識だったので…そうではない考え方や法律には呆然としてしまった。それぞれに命の重さと向き合う姿が印象深い。特に佐藤有希恵の、絶望を乗り越え人として成長する様が素晴らしかった。この作品、私が子供を出産した直後くらいに昼ドラで放送していて、毎日乳児を腕に抱きながら固唾を飲んで観ていた。命と向き合うことの大切さを、良い時期に学ばせてくれた作品だった。2019/01/04

達ちゃん

50
結構衝撃的な重いテーマでしたが、ぐいぐい読まされ一気読み。妊娠、出産、中絶についてすごく細やかな内容で男性作家が書いたことに驚きです。なかなか答えが出ないテーマかもしれませんが、色々な事を考えてしまいました。2018/04/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/509070
  • ご注意事項

最近チェックした商品