解夏(げげ)

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  • サイズ B6判/ページ数 397p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784344002685
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

東京で小学校の教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、職を辞し、母が住む故郷の長崎に帰った。懐かしい町を目に焼き付けようと日々歩く隆之の元に、東京に残した恋人の陽子がやってくる。陽子の将来を憂い、この先の人生を思い悩む隆之。そこに、かつての教え子たちから手紙が届く…。表題作「解夏」ほか、全4作品を収録。

著者等紹介

さだまさし[サダマサシ]
1952年長崎市生まれ。3歳8カ月より学び始めたヴァイオリン修業のため、小学校卒業と同時に単身上京。1973年、フォークデュオ・グレープとしてデビュー。『精霊流し』『無縁坂』が大ヒット。1976年のソロデビュー後も、『雨やどり』『関白宣言』『北の国から』など数々の大ヒット作品を生み出す。2002年3月には、ソロになってから通算3000回目のコンサートを達成。同年9月よりデビュー30周年コンサートを東京・名古屋・大阪で開催。2001年、初の長編書き下ろし小説『精霊流し』(幻冬舎刊)を発表し、ベストセラーとなる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とし

158
じわーと心が温まり、深い悲しみや優しさ、ロマンチックを感じさせ目頭が熱くなる、短編なのにまるで長編小説の様な感じのする一つ一つの物語でした。2015/05/08

nico🐬波待ち中

113
さだまさしさんの歌のように、優しく温かな余韻に包まれた短編集。親子、恋人、夫婦等当たり前のように存在していた人と人との絆の破綻。それらが静かにゆっくりと再生していく過程が優しく綴られている。表題作の、失明の恐怖に押し潰されそうになりながらも苦しみから解き放たれた瞬間の、悟りを開く様がとても良かった。「解夏」…とても素敵な言葉。思うようにならず、大人も子供の頃のように泣きたくなる時もある。そんな時に寄り添い自分を認めてくれる身近な人の存在の有りがたさが身に染みた。さださんの優しい歌声が聴こえてきそうだった。2018/06/06

めしいらず

71
表題作が良い。病で光を失いつつある主人公が、目を逸らし続けていた押し潰されそうな恐怖を、悔しさを、弱い己をさらけ出し、「助けて」と嗚咽する。支えてくれる愛しい人にも同じだけの重荷を背負わせていることにはたと気付き、腹を括る。そして訪れたその時を、「解夏」になぞらえ失明の恐怖から解放されると捉える前向き。それらが違和感なく伝わってくる。歌い手「さだまさし」のファンなので何となく読まずにいたけれど、予想以上に良かった。「サクラサク」も中々。「水底の村」はいろいろ詰め込み過ぎて、少々散漫なのが惜しい。2014/05/14

とろこ

64
4編から成る短編集。不運や悲運はあっても、不幸ではない、ということを教えてくれる。人は、時に、否応なしに過酷な運命にさらされるけれど、それでも、その人生の中に光明を見出すことは可能なのだ、と。物悲しい話もあるが、根底に、人や人生、他者への、深い優しさが見える。表題作は、映画をDVDで観たことがあるので、その配役で脳内変換されてしまった。「秋桜」と「水底の村」が好き。「秋桜」はウルッときた。「サクラサク」は、切なかった。2018/03/12

とろこ

62
再読。以前読んだ時よりも、自分も年齢を重ね、様々な経験を積んだ為か、更に心に響いた。特に「サクラサク」。親の老いと向き合う葛藤が、自分の現状と重なり合っており、グサグサと突き刺さった。表題作の「解夏」と「サクラサク」には、仏教の思想が特に強く反映されているように思う。「秋桜」も「水底の村」も、やはり良かった。逆境や不運にあっても、人は不幸だとは限らない。それらのものをくぐり抜けた時、人はより優しく、強くなれるものなのかもしれない。物悲しくも、生命を愛おしむ眼差しが通底している秀作。2019/07/14

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