出版社内容情報
スカイツリーをあおぎ見る浅草を舞台に、車夫の世界に飛び込んだ少年と周囲の人たちとあたたかなふれあいを描く連作短編集。
内容説明
にぎわう浅草を舞台に、車夫“人力車のひき手”の世界に飛びこんだ少年と、そこで出会う人たちとの心のふれあいを描く―さわやかな成長の軌跡。
著者等紹介
いとうみく[イトウミク]
神奈川県生まれ。フリーライターとして雑誌や書籍の企画制作などをおこないながら、児童文学作品を積極的に発表している。『糸子の体重計』(童心社)で第46回日本児童文学者協会新人賞受賞。『空へ』(小峰書店)で第39回日本児童文芸家協会賞受賞。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
297
「うちは顔のいいやつしか、とらないんですよ」と言う、浅草の人力車屋が舞台。青春群像を描くライトノベル。人力車だけにスピード感溢れる文体に、好感を持った。登場人物それぞれが、いわくありげな過去を持ち、居場所をなくしてここに流れ着く。「引き寄せちゃうんですよ、なんか抱えてる人」を。この言葉通りに人が人を呼んで、話が展開。登場する人力車夫はカッコよい、今どきの青年、少年のようだが、もう少し色気が感じられたら、もっと良かったかも…。2021/03/27
mocha
104
浅草で人力車を牽く17歳の吉瀬走とその周囲の人びと、それぞれの視点で描かれる連作短編。つらい経験から車夫となった走は、知らず人の痛みを癒していく。悲しみに潰されないよう前を向いて走る姿が愛おしくなった。走に手を差し伸べようとする人達もまた、それぞれに過去を抱えながらも温かく清々しい。車夫の走るリズムに身を任せ、流れていく風景を見てみたくなる。残念なことはYA本にしても文字が大きいこと。大人の本として出してもよかったのではないかと思う。2016/09/21
chimako
96
やむを得ない事情で高校を中退した走(そう)が回りの大人の助けを得ながら車夫として、人として成長する姿が清々しく描かれる。回りの大人たちもそれぞれに抱えるものはある。章立てで主人公を変えながらその事情も明らかになる。父親の再婚に苛立つ女子高生を乗せた走のさりげない心づかいは、走の心根を表してここ地よい。父親にも母親にも捨てられた男の子がこんなに良い青年になるのはたぶん奇跡なんだろうな。中高生にはぴったり1冊。希望がある。夢がある。温かい人情もある。今度浅草に行ったら風を切る人力車に乗ってよう。2016/09/26
はる
92
読友さんの御感想から。ちょっと初期の重松清さんを彷彿とさせる。人生の厳しさを描きながら、そっと優しい。打ちひしがれ、悲しい経験をした人は本当の優しさを知っている。YAだけれど大人にも響く良質の物語。主人公の少年の真っ直ぐな想いが素敵だ。穢れの無い彼の笑顔が眩しい。仲間たちの素朴な優しさも胸に沁みる。2018/01/29
ゆみねこ
74
父の事業破綻と失踪続いて母の失踪と、相次ぐ不幸に見舞われ、高校をやめてしまった吉瀬走。浅草の人力車を引く車夫に。興味はあっても恥ずかしくて乗ったことのない人力車、いつか乗らなくてはって思わせてくれます。力車屋のみんなが好い人です。続編も読みますよ♪2018/12/01
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