内容説明
90歳まで絵筆をとった人気浮世絵師・葛飾北斎。情報の限られた江戸時代に、広く日本の外からも情報を収集した超人・北斎の真の姿をあぶりだすノンフィクション。
目次
1章 北斎を探る旅
2章 生い立ち・浮世絵師への道
3章 家族とその暮らしぶり
4章 海外情報への好奇心
5章 世界を魅了した『北斎漫画』
6章 生涯通しての現役絵師
7章 最晩年の日々
8章 北斎を復活させたロシア人
著者等紹介
千野境子[チノケイコ]
横浜に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。1967年産経新聞社入社。マニラ特派員、ニューヨーク支局長、女性初の外信部長、論説委員長などを歴任。1997年度ボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『アメリカ風だより』(第32回青少年読書感想文全国コンクール課題図書)『紅茶が動かした世界の話』(第23回読書感想画中央コンクール課題図書)などがある。現在産経新聞客員論説委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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パトラッシュ
111
画狂という呼称は葛飾北斎にこそふさわしい。壮大な鳥瞰図から細密な風景画、リアルに描いた肖像画に水木しげるの先駆的幽霊絵まで、同時代のあらゆる対象を貪欲に描き続けたのだから。あまりに多面的な活躍をしたため逆につかみにくい北斎の全体像を、江戸後期の風俗や社会を飽くことなく描き続けたジャーナリストとしての視点から整理する。写楽、広重、歌麿ら浮世絵師は数あれど彼らは得意とする分野のみに閉じこもっており、19世紀半ばの日本を見渡せる画家は北斎しかいなかった。その活躍ぶりは、松本清張を画家にしたようなものに思われる。2021/08/10
美紀ちゃん
103
検索して北斎の絵の画像を見た。すごい。江戸時代の天才画家の絵。とても色鮮やかで江戸時代に描いたとは思えないくらい。葛飾北斎を名乗ったのは47歳の時。90歳まで生きた。江戸時代の人なのにとても長生きしたと思う。100歳まで生きるつもりでいた元気な人。亡くなる前に「あと5年生きたい」と言い残した北斎。国際派でジャーナリスト精神を持ち合わせた北斎は、明治維新へと向かう江戸時代最後の社会など時代の変わり目を見たかったのだと思う。葛飾応為と北斎と親子で書いたという『吉原格子先之図』美しい。光と影がお見事。注目したい2022/07/04
☆よいこ
89
伝記。ふりがな有り高学年~中学向き。江戸の浮世絵師、葛飾北斎は90歳まで現役で絵筆を持ち続けた。今なお日本を代表し、国際的にも人気のある北斎の軌跡を辿る。巻末に年表あり。参考文献も多い▽ふりがな丁寧な割に内容はとても充実しており、多くの作品の逸話を紹介している。画集を横に並べて読むのがおすすめ。とにかく凄い人だったんだなという感想。2022/05/22
chimako
86
【2022年読書感想文コンクール課題図書】ルポルタージュのようなこの本で感想文を書くにはそれ相応の調査が必要と思われる。とにかく、北斎の絵が一枚も載っていないので画集を観るかネット検索に頼るかしないと臨場感に欠ける。スマホとパソコンとに頼りながらの読書となった。北斎というと緒形拳の「北斎漫画」を思い出すのは年齢的なものか。青幻舎の『北斎漫画』3冊がたまたま手元にあり改めて眺めると、目に写るありとあらゆる物が描かれ、目に見えないこの世のものではない物も描かれ文庫なのに圧倒される。この夏は小布施に行きたい。2022/07/05
花ママ
59
改めて北斎の凄さ、天才ぶりを知った1冊です。今まで知らなかった生い立ちや家族関係を知ることができました。歳をとっても衰えない現役絵師としての創作意欲すごいと思います。江戸時代鎖国という閉ざされた中にあっても、わずかに開かれた扉から世界に目を向けるエネルギッシュな姿が印象的でした。「富嶽三十六景」「北斎漫画」をじっくり見てみたい。2024年から新千円札に〈神奈川沖浪裏〉が登場するとのこと、楽しみです。2022/06/08