ラナーク―四巻からなる伝記

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  • サイズ B6判/ページ数 714p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336049391
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

スコットランド文学の奇才アラスター・グレイの第一長篇にして最高傑作『ラナーク―四巻からなる伝記』は第三巻から始まる。記憶を持たない青年ラナークは退廃の色濃い都市アンサンクを彷徨し、謎にみちた奇怪な施設に収容され、やがて混沌と陰謀の渦巻いた大騒動にまきこまれる…悪夢的幻想世界での冒険を強靱な想像力で描く第三巻・第四巻。そして画家志望の少年ダンカン・ソーの友情と初恋、苦悩と幻滅をリアリズムの手法で瑞々しく描く第一巻・第二巻。二つの異なる世界は仕掛けに富んだ語りで絶妙に絡み合い、物語は鮮烈な黙示録的ヴィジョンをむかえる―SF・ミステリ・ファンタジー・半自伝・ビルドゥングスロマン・メロドラマ・文芸批評・メタフィクション等々あらゆるジャンル・小説形式をミックスした現代の叙事詩、ついに登場。

著者等紹介

グレイ,アラスター[グレイ,アラスター][Gray,Alasdair]
1934年スコットランド・グラスゴー生まれ。美術学校卒業後、美術を教えるかたわらラジオ・TVの脚本などの執筆活動をつづけ、81年質・量ともに型破りな第1長篇『ラナーク』を刊行。一躍注目を浴びスコットランド文学活況の先鋒に立つ。以後スコットランドのみならず若手イギリス作家に最も影響を与えた作家として活躍している。92年『哀れなるものたち』(早川書房近刊)でウィットブレッド賞、ガーディアン賞受賞

森慎一郎[モリシンイチロウ]
1972年岡山県生まれ。京都大学文学研究科博士後期課程修了。アメリカ文学専攻。東北学院大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

136
最初はどうってことのない若者の話に思えるが次第にSFっぽく不可解になる。訳は読みやすい。文のあちこちに啓示的な事が記されていそだが、それを気にするとこの長編に躓きそうで、先を急いだ。そもそも4巻からなるとタイトルにあるが、話は3巻から。そして主人公は、ラナーク以外に、私「ダンカン・ソー」が入る仕組みで、ストーリーが時系列でない。それが全体を読みにくくしているわけではないが、ラストを体感するにはこの順序でなければいけなかったのだろうか。味わい切れたとは言えないので、時間をおいて時系列で読み直したい。2017/03/19

NAO

76
記憶を失くしたラナークの話から始まるこの作品は、最初が三巻、ラナークの前世であるソーの話の一巻・二巻と続き、再びラナークの話に戻って四巻、エピローグという構成になっている。ソーの話の部分は画家となろうとしたグラスゴーでの彼の生活が写実的に描かれているが、ラナークの話の方はグロテスクなファンタジーともいえる内容になっている。この主人公の二重性は村上春樹の『世界の終わりとハードボルドワンダーランド』と似ているとも言われているようだが、私としては、ラナークの世界はソーの死後の世界といった印象を受けた。 2019/08/03

扉のこちら側

76
2017年45冊め。【265/G1000】『重力の虹』や『百年の孤独』に並ぶ二十世紀最重要文学とのことで身構えてしまったが読みやすかった。タイトルの4巻からなるというのがメタなところで、この1冊の中に各2巻からなる2つの物語が絡み合うという構造になっている。著者は画家でもあり表紙や挿絵も描いている。​青春小説でもあり宗教や政治の話でもあり、肉体と精神の物語であった。 2017/01/16

おおた

24
苦節8ヵ月、読了しました! 8ヵ月の悪夢は決して読みにくいわけではないのだけど、ものすごく長い山月記を読んだ気分。虎にはならず巨大な世界の歯車になったり、すばらしい画家なのに何一つ完成できなかったりするところが、いかにも自意識過剰の我々にありがちな光景でつらい。21世紀日本なら精神科医にかかってお薬出されるような勢いのラナークだけど、どうしても心根を変えられないところに共感してしまう。山月記の虎よ虎よ!2017/02/15

志ん魚

16
リアリズム、SF、ファンタジー、コミック、神話、絵画、さらにはポストモダンならではの「禁じ手」まで。。。あらゆる手法を駆使し、20年以上もかけて書かれたこの前代未聞の叙事詩は、もはや著者自身の分身といってもよいかもしれない。あるいは悶々とした想像力の中で自家中毒を起こした著者のそびえ立つ排泄物。あるいは紙でできたレンガ。内容についてはあまり多くを語るべきではないだろう。とにかく、キャシー・アッカーもうらやむほどの妖しさと面白さを兼ね備えたケッサクなので、是非予備知識なしでどうぞ。2011/10/13

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