内容説明
バンジョレレを習い始めたバーティーはご近所から苦情を浴びせられ、田舎のコテージで練習を再開。だがジーヴスにも辞められて新たな執事を雇い入れるが…シリーズ第6弾。
著者等紹介
ウッドハウス,P.G.[ウッドハウス,P.G.][Wodehouse,Pelham Grenville]
1881年イギリスに生まれる。1902年の処女作『賞金ハンター』以後、数多くの長篇・短篇ユーモア小説を発表して、幅広い読者に愛読された。第二次世界大戦後、米国に定住し、1955年に帰化。1975年、サーの称号を受け、同年死去した
森村たまき[モリムラタマキ]
1964年生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程修了。国士舘大学法学部講師。専攻は犯罪学・刑事政策(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
295
もうどこをとってもイギリスらしさの横溢する作品。語り手のバートラムはパブリック・スクールからイートン校、オックスフォードと学歴を重ねた上流青年紳士。もちろん独身主義者だ。他の登場人物たちも、彼の学友チャフネル男爵とアメリカの富豪一家。そして彼らの中にあっては異色にして、これまた最もイギリスらしい執事のジーヴス。こうした登場人物たちの類型性は、この小説がお芝居仕立てになっていることに大いに寄与する。作品の構造は極めてシンプルで、バンジョレレに始まって、最後の二人のセリフに収斂され、そこで見事に幕を閉じる。2015/07/10
遥かなる想い
255
安定した面白さを感じる。 有閑主人バーティーと 執事との会話が軽快で 楽しい。 あと書きによると、 ウッドハウスの本は、 「かろやかな言葉の音楽」 だそうだが、 このかろやかな音楽は 本当に気持ちよい。 主人と執事とのくだらない 仲違いから始まる物語… 馬鹿馬鹿しい程の意地の 応酬は、心和む程に 微笑ましい。2015/07/11
ケイ
119
ジェロームの「ボートの三人男」や、ディケンズの「ピクウィック・クラブ」を生んだ国の作家の作品だ。主人と執事のジーヴスの二人だが、些か軽はずみな主人公と、ここまできたら無礼?と言うほど慇懃な執事の会話が軽妙で有り得なくて、痛快な面白さ。この調子でどんどん、あればあるだけ読んでしまいそう。作者のウッドハウス氏は93歳で亡くなるまで100冊ほどの著作があるよう。このジーヴスだけでも20近くも!20代後半にアメリカに移住したわりには、作風があくまでもイギリス風だ。2015/10/11
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
109
独身貴族バーディと執事ジーヴスを中心におかしな人々が繰り広げるコメディ。楽器の演奏で近所から苦情を受けたバーディは郊外に転居を決めるが、ジーヴスに辞められてしまう。新しい執事を雇い新生活を始めたものの、友達の結婚騒動に巻き込まれ……。訳者あとがきの〈ミュージカルコメディのような〉という形容がぴったり。「身体的運動は心がうずいておりますところの緩和策であるとは、広く認められておりますところでございます」。ジーヴスの丁寧過ぎる語り口と、彼に「精神的に取るに足らない」と評されるバーディとの会話の応酬が可笑しい。2015/07/11
まふ
95
ジーヴス・シリーズ初読。青年紳士バーティが「天才執事」ジーヴスにバンジョレレの音がうるさいとクレームを突き付けられて解雇するところからドラマは始まる。近所迷惑というのでバーティは親友のチャフネル男爵の領地に居候するが、そこにジーヴスも雇われており、バーティの元婚約者のポーリーンとその一家が現れるに及んで様々な事件が発生しドタバタ喜劇を展開する。ジーヴスのもってまわった「執事口調」が笑わせて愉快だ。屈託のない喜劇を楽しんだ。G1000。2023/06/15