魔法の本棚<br> 郵便局と蛇

魔法の本棚
郵便局と蛇

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  • サイズ A6判/ページ数 244p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336038326
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

虎に扮してライオンと戦うはめに陥った男が檻の中で出会ったのは…。ユーモラスな展開の中に人生の深淵を覗く名作「銀色のサーカス」他、日常の裏側にひそむ怪奇と神秘をえがくコッパードの珠玉の短篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおた

21
「ライフタイムベストとかいくつあんねん?」と時々問いただしたくなるんだけど、わたしの場合はこれ。出会って15年くらいたつけど、未だに変わらない不動の1位、というかコッパードは特別な作家。英語で読もうとすると古い言葉が多くて難しいんだけど、本書(文庫版も!)や光文社文庫によって再び光が当てられるのはうれしい。改めて読むとキリスト教に基づいた物語が多いことに気づく。本人や父は無神論者だったようだけど、イギリスとはいえ1900年代前半に無神論者でいることは難しかったろう、だから書けた作品群なのかも。2016/11/06

乙郎さん

13
イギリスの作家の短編集。バラエティに富んでいる。「銀色のサーカス」や「若く美しい柳」、「王女と太鼓」といった寓話調のわかりやすい作品もあれば、「辛子の野原」など複雑な感情を題材にしたものもある。「うすのろサイモン」や「シオンへの行進」ではキリスト教への複雑な思いが見え、特に後者は少々難解と感じた。表題作も短さゆえ解釈が分かれる。そして、無気力青年を主人公に据えた「幼子は迷いけり」の寓話的な展開に含まれた救いのなさ。けど全体的には読みやすく美しい小説群なのでおすすめです。2009/10/01

きゅー

10
幻想的な物語が続くのかと思いきや、そんなこともなくバラエティー豊かな短篇集。『ねじの回転』を思わせる「ポリー・モーガン』では、淡々とした描写の中に籠っている想念が印象深い。「幼子は迷いけり」では、一体どういうふうにストーリーが進むのかと思ったら、どういうふうにも展開しない潔さが、逆に新鮮で刺激的だった。「シオンへの行進」の鉄拳修道士には笑わされた。一篇ごとにガラっと雰囲気が異なるので、予想がつかず面白い。ただ、先に挙げた『ねじの回転』のように、さらに面白い他の作家の作品を思い出してしまうのが難点だ。2012/03/01

ネムル

7
物語にも筆致にも現代のような過剰さがないのだが、一気に物語に引き込まれる。表題作など特に急転直下のオチがつくが、それがすっとぼけた味わいを残しており素晴らしい。あとは「銀色のサーカス」「若く美しい柳」「王女と太鼓」なんかも良い。2010/01/28

nightowl

6
ロマンチックな表紙と異なり、どこか抜けている可笑しさの漂う短編が特徴。女二人のただの井戸端会議なのに妙な魅力のある「辛子の野原」、家出少年の冒険「王女と太鼓」などなど。それら以外では独身の(同居している語り手の)伯母の憐れみによる行動から奇妙な世界へ迷い込む「ポリー・モーガン」、過干渉(?)の母親と無関心な息子を描いた「幼子は迷いけり」が読後もやもやした感情にとらわれ記憶に残った。作品パートが206ページまでと短いながらも、シンプルに作家の面白味を伝えた好短編集。2012/01/17

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