セラフィタ

セラフィタ

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  • サイズ B6判/ページ数 261p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336037459
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

133
彼女elleであり彼ilであるセラフィタ=セラフィトゥス=熾天使(最高級の天使) 。ノルウェーのフィヨルドの美しい描写の真っ最中に見えてくるミンナとセラフィタの二人の戯れ。光り輝く氷の山の絶壁の片隅で休む美しく若い二人の寄り添う様子は、この世からは離れているようだ。信じるには若さと純潔が必要で、年老いた牧師の心からは疑問が去らない。天使はまず地上にあらわれ、天を目指す。美しいおとぎ話だが、ふと現実にかえらせる老人の存在。セラフィタは天まで行き着く翼を持てたのだろうか。2018/04/03

新地学@児童書病発動中

114
両性具有の天使を描くバルザックの幻想小説。透き通るような美しさがあり、既読の彼の作品の中ではこれが一番好きだ。ノルウェイの自然の中でセラフィタが姿を見せる導入の部分は宗教的な美に満ち溢れており、思わず引き込まれる。中間の部分はスウェーデンボリの思想を巧みに取り入れた哲学問答で、バルザックの絶対的なものを求める姿勢に圧倒された。あらゆるものを統合して、真善美を実現することが熱っぽく描かれる。結末のセラフィタが天に帰っていく部分は、この世のものは思えない美しさで、自分の存在自体が浄化される気がした。2018/03/21

りつこ

22
「私が選ぶ国書刊行会の3冊」で山尾悠子が挙げていたのでこれはと思い読んだのだが、非常に宗教色が強くて読みづらかった。両性具有のセラフィタと彼(彼女)に心を奪われた少女ミンナ、ウィルフリッドとの場面は物語として面白かったのだが、セラフィタと牧師が語る宗教や哲学の箇所(これが長い…)はもうなにがなんだかよくわからなくてしんどかった。キリスト教の排他的で残酷なところが苦手…。でもどうにか読んだよ、ママン…。2012/09/22

noémi

10
話が面白いかと言われれば「面白くない」と正直にいってしまおう。しかし、これってバルザックが書いたのかと思えば感慨深い。これは小説の形にした「詩」、「音楽」でしょうか。フォーレの「レクイエム」を聴いているんじゃなくて読んでいるような気分っていうのが一番適切な表現かな。非常に天上的で、神秘的なお話。スエーデンボルグがよく出てくるので、再読する前にそっちのほうも読んでおかなきゃ、絶対に深く理解できないと思える。(だがバルザックはスエーデンボルグの思想を完全に理解しているとはいえないと解説に書いてあったけど)2012/10/13

Major

9
傑作である。一般的には幻想文学の類に属するようだが、宗教哲学書としても十分に読み込めるものである。つまり、古来からの形而上学的問題である心身二元論について、キリスト教神秘主義の立場から文学的に論じた作品として捉えることができる。イエスが「神の子」ではなく「神」の化身であり、天使はこの地上に人間の肉体を借りて現存在しているという思想は、キリスト教信仰にあっては、かなり際どいものであったろうことは予想がつく。しかし、この幻想的かつ神秘的な世界観を「両性具有(ある意味で完全性)の聖霊的存在である」コメントへ続く2017/09/02

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