出版社内容情報
作者の夢の中に現れた一匹のねずみが物語る、核戦争によって人類が滅亡した後の世界。「ブリキの太鼓」のオスカルも再登場、現代文明への問いかけを続けるグラスがそのすべてを注ぎ込んだ問題作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
11
主人公とねずみの対話という形で地球の終末(核兵器が使われた未来)を描いているSF的な要素のある作品です。散漫にして濃密な内容なので読みにくいですが、収束不可能な放射能汚染を引き起こした日本人は自戒をもって読むべき作品と言えるでしょう。発表されたのは1986年ですが、これ以前に発表された『ブリキの太鼓』や『ひらめ』に登場する人物だけでなく、これ以降に発表された『蟹の横歩き』(2002年)に登場する人物や船の名前が出てきています。当時既にグストロフ号を題材にした小説を書く構想があったということなのでしょう。2015/06/08
じちく
1
女ねずみが「私」の夢に登場し人類滅亡後、生き残ったねずみたちの話を物語る。彼女の話を聞いているうちに夢の中にもう一つの<女ねずみの話を忠実に追う>現実が入り込み、「私」はだんだんとそれが本当の現実であると思い込むようになる。1984年という設定といいねずみといいなによりだんだん「何が本当なのか分からなくなっていく」状況(もろもろの贋作も含め)がオーウェルっぽい。2011/12/19
astrokt2
0
未レビュー2009/05/30
でろり~ん
0
う~ん、こんなに長くなくても良いのでは、と思ったのでありました。そもそも、読むタイミングとして決定的に遅かったわけで、内容が陳腐に感じられるのも仕方のないところでしょうか。こんなふうに啓蒙的になってしまうと、さすがのグラス・ヴォイスも魅力がなかったです。オスカルの壮年を描くことに何を感じれば良いのか、分からんかったです。ところどころのエロスも乾いてしまっていて、そう、つまらんのです。ドイツ的でさえもない。長すぎて、眠かった。2018/05/02