内容説明
杉並区の住宅街に、微妙に孤立してみえる一戸建てが三軒。大学教授の高倉家は夫婦二人ぐらし。隣は四人家族の西野家。向かいは老親子が住む田中家。ごく薄いつきあいの隣人同士の関係はしかし、田中家の失火炎上を契機とするかのように、大きく歪みはじめる…。第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
著者等紹介
前川裕[マエカワユタカ]
1951年東京生まれ。一橋大学法学部卒。東京大学大学院比較文学専攻修了。スタンフォード大学客員教授などを経て、法政大学国際文化学部教授。専門は比較文学、アメリカ文学。『クリーピー』(第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞)が、作家としての本格的デビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そのぼん
146
とある一家の行方不明事件や隣の家の放火事件、そしてその他諸々の出来事の中で垣間見えてきた異様な佇まいの人物ー。まさにタイトルとなっている『クリーピー』【(恐怖のために)身の毛がよだつような;気味の悪い】がしっくりくる作品でした。それと、表紙もクリーピーそのものでゾクゾクしました。着地点がどこにあるのか全く読めなかったので、読みごたえがありました。2015/02/01
財布にジャック
102
薄気味悪い表紙やタイトルで、読む前から身構えてしまいました。日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作だそうですが、新人にしては凄い練られた内容なので大当たりだし、今後もとっても楽しみな作家さんが発見出来ました。それにしても怖いです。途中まではどうなることやらと心臓がバクバク状態でしたが、落としどころは違う方向へとすりかえられてしまった気がします。また、犯罪心理学の教授が主役でしたが、せっかくそういう設定なら、もっと犯人と対決させてくれたら更に良かったかもしれません。2012/09/02
冴子
96
映画の原作ということで読んでみました。初読作家さんです。ストーリーはめちゃくちゃ面白かったです。こんなラストだとは全く予想もできませんでした。ただ文章的には下手っぴいなところはありましたが、それに目をつぶっても面白かった! ただ矢島の目的はなんだったんだろう? 支配?2016/06/19
barabara
89
うぅ、怖かった〜。特に中盤までの不気味な隣人の下り、夜中に読んで久々に背中がぞわり。黒い家を読んでる時と似てる。思わず窓の鍵を確認しちゃった…。残念なのは後半以降。え〜どうしてそうなる?リアリティなしの結末。途中まで本当に良かった分、ガッカリ度半端なし。52012/03/21
ゆみねこ
83
第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。前川さん、初読み。隣人は何者?面白くて一気に読みました。最終章で唐突な幕引きとも感じましたが、これはこれで良かったのでは?クリーピーとは、気味の悪いという意味だと。確かに気味の悪い犯人にザワザワ・・・。2015/06/20