内容説明
上田秋成の世界が「女の情念」でよみがえる。ホラー小説の鬼才が独自の解釈で描く江戸怪異小説の妙。
著者等紹介
岩井志麻子[イワイシマコ]
1964年、岡山県生まれ。1999年『ぼっけえ、きょうてえ』で第6回日本ホラー小説大賞受賞。翌年、同作で第13回山本周五郎賞受賞。2002年『チャイ・コイ』で第2回婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で第9回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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愛玉子
15
オリジナルの清澄で硬質な印象が、母であり女である語り手たちによって見事なまでに志麻子色に染めあげられている。原典のファンとしては、そんなに無理やり女の情念絡めんでも…と思ってしまう作品もあったが、『吉備津の釜』は原典とはまた別の魅力ある作品になっていて驚かされた。上手くまとまっているものと、うーんそう来たか…(悪い意味で)が半々という印象。2010/05/07
佳容
8
人として耐え難い苦難や絶望の果てに、人としてのカタチをとれなくなったものをかつて「鬼」と呼んだのだという話を思い出した。やはり、「雨月物語」の世界観に魅了される。どの話も妾(わたし)という女視点で描かれているのが岩井流なのかな。好きだったのは『仏法僧』。あたかも憑依するように視点が移り変わる。「雨はれて月朧なる夜」に訪う者たちは、忌むべき異形のモノというよりも、生と死の狭間を乗り越えて逢いにやってくる愛しき者のように思えてならない。2010/03/12
momo
6
男性が書いたものを女性目線で語るとこういうことになるのですね。怪談にさらに心理ホラーが加わった何重もの恐怖。原作も読んでみたい。2015/02/11
水沢晶
5
もの凄く久しぶりに岩井志麻子さんを読んだ。一話ずつ読み進めるごとに面白さが増してゆく。うん、そうそうこの感じ。じっとりと重たくのしかかるような怖さ。面白かった。2024/04/18
5〇5
5
~「雨月物語」”こころ”の短歌~ 慈も恋も 念つよければ 怨となる 憑き忌まわしや そは心なり2021/08/09