出版社内容情報
姫川はアマチュアバンドのギタリストだ。高校時代に同級生3人とともに結成、デビューを目指すでもなく、解散するでもなく、細々と続けて14年になり、メンバーのほとんどは30歳を超え、姫川の恋人・ひかりが叩いていたドラムだけが、彼女の妹・桂に交代した。そこには僅かな軋みが存在していた。姫川は父と姉を幼い頃に亡くしており、二人が亡くなったときの奇妙な経緯は、心に暗い影を落としていた。ある冬の日曜日、練習中にスタジオで起こった事件が、姫川の過去の記憶を呼び覚ます。――事件が解決したとき、彼らの前にはどんな風景が待っているのか。
内容説明
結成14年のアマチュアロックバンドが練習中のスタジオで遭遇した不可解な事件。浮かび上がるメンバーの過去と現在、そして未来。亡くすということ。失うということ。胸に迫る鋭利なロマンティシズム。注目の俊英・道尾秀介の、鮮烈なるマスターピース。
著者等紹介
道尾秀介[ミチオシュウスケ]
1975年、東京生まれ。2004年、『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。2007年、『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PSV
99
道尾秀介の名を一躍知らしめた作品。どんでん返しの連続は確かに目を見張るものがあるけど、それ以上、あるいはそれと同等に、青春小説としても十分に読むに値する。ちょっとまあ、未熟というか硬さの目立つ部分もあるけど、それも含めてこの頃の道尾秀介は良かったと思う。 ★★★☆☆2012/05/20
わんこ
97
相手の事を思いやるが故に事態を難しくさせてしまった。ちょっとやるせない思いでした。姫川の姉の事件もひかりの事件もどちらもミスリードに引っ掛かった。しかも裏の裏を読もう読もうとしている自分がいて、裏を読んだらまた騙された(笑) 犯人は母と桂だと思ってた。途中でやっぱ私の読みは当たったね!と鼻高々・・・・ところがラストで・・・・・。やられた~。姫川を疑いながらも信じようと葛藤する友人二人が結構好き。そして姫川と母、姫川と友人の関係もこれから明るい方向に向かって言ってくれる、と思わせてくれるラストで好印象。2011/01/30
しろいるか
87
道尾作品だからミスリードされないように警戒して読んだつもりだったけど、終わってみたら二転三転いいように翻弄されてた。姫川の生い立ちには同情の余地があるけど、ひかりに対する気持ちはあまりにも身勝手。ハリガネムシの場面も本性が出たようでぞっとした(印象強過ぎたせいでこの辺りから道に迷っちゃった)ラットマンの話は興味深かった。同じものでもその時の心情によって違って見えることって確かにある。エレベーターの話も面白かった。あと豆のにしかわが出てきたのにはニンマリ。他の話で西川刑事と真備の共演が見てみたい。2011/01/09
バネ
69
あれだけ騙されるなと自分に言い聞かせたにも拘らず、やっぱり騙された。ラットマンって、そういうコトだったんだと。人という生き物の不完全さと、確証バイアスの恐ろしさ。。もっと多方面から、俯瞰から、物事をぢっくり見て判断しなければ本質(真実)は見えないモノである。2022/05/01
Satomi
69
「ラットマン」同じひとつの絵が人の顔に見えたり、ネズミに見えたりする絵。状況や経験から脳が思い込み勝手に認識してしまう…。ラットマンの絵のごとく人の思い込みや誤解から生まれた哀しい真実。犯人と思わせる怪しい人物、読み手がまんまと誤解をするような言葉の数々。ミスリードされたままに最後の最後まで騙されっぱなし!!見事なドンデン返し!!これは穿った読み方をせず素直に騙された方が楽しめる♪2015/09/05