出版社内容情報
森下町の小間物問屋の主・遠野屋清之介と北町奉行所同心・木暮信次郎を描いた、累計80万部突破「弥勒シリーズ」待望の第10弾。
内容説明
同心・木暮信次郎×商人・遠野屋清之介―亡き母の過去を探る信次郎。商いに生きると決めた清之介。事件は、殺された夫婦の驚愕の死に顔から始まった。もっと異形、もっと歪、もっと奇怪。「弥靱」シリーズ第十作目。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。小学校の臨時教員を経て作家デビュー。「バッテリー」シリーズで野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞を、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。児童文学、青春小説、SF、ミステリー、時代物と、幅広いジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
191
弥勒シリーズ最新刊。果たしていつも通りの世界がそこにあった。木暮様の亡き母上の命日に墓参した事がふむふむ…こう繋がるかぁだった。木暮様と遠野屋、薄氷を踏む関係は同じなのに、本作は今までよりヒリヒリ・ゾクゾク感が物足りなく感じた私は何を求めているのだろう(汗)もはや伊佐治親分と共にこのシリーズの結末を、二人の行く末を見届けるまでは生きなきゃって気持ちになってる。生涯にたった一人巡りあった相手は怖気と快楽、光と闇…あぁこの関係が堪らない。2021/04/19
utinopoti27
153
驚愕の表情を張り付かせたまま、血だまりに横たわっていた口入屋の夫婦。彼らは死ぬ間際に何を見たのか。怨嗟と愛憎のもつれを解きほぐすうち、事件は意外な顔を見せ始め・・。偽善者の仮面を引きはがすことに無情の悦びを覚える同心・小暮信次郎の筋読みが冴え渡る。今回も小間物商・遠野屋清之助と、岡っ引き・伊佐治を加えた三者三様の絡みが、絶妙なバランスで繰り広げられる。ひりつく心理描写と、詩的で流麗な情景描写も読みどころ。10作目にして累計77万部を超えるという人気シリーズ。本作もファンの期待にたがわぬ仕上がりだ。2021/05/18
初美マリン
137
弥勒シリーズがますます剣呑になっていく。ミステリーとしても充分面白いのだが。遠野屋が、激しくなっていく二人にはもうちょっと寄り添って欲しい。親分のようにハラハラする。行き着く先は、やはり闇ですか?2021/05/16
タイ子
111
またもやこの世界観に浸ってしまった。読むごとに体に刃を向けられているようなゾクゾク感、それが弥勒シリーズ。同心の信次郎、小間物屋の清之介、ここにきてもまだ2人の仲がどうにも掴めない。大店の夫婦の殺人事件を軸に岡っ引きの伊佐治が動き出す。信次郎と清之介の中に立つ伊佐治の存在が今回もいい。あさのさんの張りつめた文章の途中で何度かフッと笑えるのも伊佐治の存在あればこそ。今回は信次郎の亡き母親がつぶやいた一言が最後まで尾を引き、一件落着かと思いきや、余韻を残しながら最後にドカンと真相を持ってくる面白さ。さすが!2021/04/17
KAZOO
109
このシリーズも10作目となるのですね。文庫化を待ちきれずに読んでしまいました。金貸し夫婦が殺されるのですが、いつも通りの道新、岡っ引き、小間物屋の店主の人のやり取りが楽しめます。今回は同心のなくなった母親が残した言葉がキーとなります。最後はいつも通りですが同心は頭は働かせますがやっつけるのは小間物屋に任せています。次も楽しみです。2021/12/28