出版社内容情報
岩井三四二[イワイミヨジ]
著・文・その他
内容説明
大内、尼子の二大勢力に翻弄される小国人・毛利家の次男に生まれた元就。山寺に隠棲し晴耕雨読する暮らしを夢見、出陣の前には子猫のようにおびえる若者だった。兄を亡くし、大将として、いつ敵方に寝返るとも知れぬ家臣たちをまとめた元就は、家をあずけることの出来る妻をもち、戦国を生き抜くために必死で足掻き、頭を使い、人を信じ、裏切り、兄弟、妻、そして―大事なものたちを喪った。みずからも九死に一生を得て己の天命を知った男は、幾度も哀しみから立ち上がり、策を極めた逞しい武将となっていく。猛悪無道と恐れられ、武略名高き西国の雄と呼ばれた毛利元就。その戦いの生涯を描く傑作歴史小説。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年、岐阜県生まれ。’96年『一所懸命』でデビュー。同作で第64回小説現代新人賞受賞。’98年『簒奪者』(『天を食む者 斎藤道三』と改題)で第5回歴史群像大賞、2003年『月ノ浦惣庄公事置書』で第10回松本清張賞、’04年『村を助くは誰ぞ』で第28回歴史文学賞、’08年『清佑、ただいま在庄』で第14回中山義秀文学賞、’14年『異国合戦 蒙古襲来異聞』で第4回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
109
ジャケ借りしちゃいました。寂寥感漂う平原、埋め尽くした人馬の骸。一人佇む武士の後ろ姿が放つ哀愁と悲壮な覚悟。ド直球なタイトルの主人公は毛利元就。吹けば飛ぶよな安芸の弱小領主にすぎなかった若き元就。東の大内、西の尼子。大勢力の脅威に辛酸をなめる日々。頼るべき家中も我欲の強い国人ばかりで一枚岩とは言いがたい。内憂外患に耐え忍び、非情の断を耐え忍び。武略調略駆使するも食うか食われるか、攻めるか守るか…。70余年の人生を毛利家安寧に捧げた元就。あえてのぞんだ修羅の道こそ彼の天命だったのでしょう。読み応え大でした。2019/03/16
ともくん
51
乞食若殿から成り上がり、十ヶ国を治めるまでの大大名になった毛利元就。 強大になってからの毛利家しか知らなかったので興味深い。 初めて読む作家だが、今後も読んでいきたい作家になった。2021/02/21
kawa
39
安芸の一国人から日本一の大大名に成り上がった毛利元就の一生を描く。早くに父母や兄を亡くし家来からの裏切りにもあい辛酸をなめる幼少時代だが、相手の意表を突く武略で徐々に周辺を切りとり大きくなっていくその苦闘と悪辣振りに読み応えがある。早くから隠居を望んだ元就だが、その秀でた能力が原因で75歳の天寿を全うするまで叶えられない生涯現役の人生。戦国の雄を誇った毛利家、また、維新の原動力となった長州藩、そもそもの成り立ちが知れる興味深いドラマ。2019/03/09
如水
32
『謀神』毛利元就が主人公(因みに謀聖は尼子経久💧)。まずは一冊でこの方の人生を詳細に纏められている事に驚きを感じる👏そんな内容です。毛利元就を知りたいっ!けど何巻も出てるし、1冊だったらクローズアップされる所は一緒だし…と言う其処のお悩みの方っ‼️必見です。読んでふと思ったのが国人で大内と尼子に対して右往左往していたのが40代。この時代の平均寿命て50歳だからもしかすると…と考えると第二の人生(50歳)で好きに生きた人なのかもしれません。もしかして自分の人生迄も読み切ってたとしたら…サスガ謀神🤔2019/04/16
yutaro13
31
毛利元就を主人公にした歴史小説は数多いし大河ドラマにもなっているのだが、実はあまり生涯を知らなかったのでこの機会に。1冊で元就の長い人生の主要イベントは抑えられているので、安芸の一国人からいかにして戦国を代表する大名になったのかがよくわかる。家臣の誅殺やら和睦の一方的破棄やら後ろ暗い謀略を駆使しまくりでえげつない。月山富田城跡には行ったことがあるので尼子攻めのあたりは面白く読めた。あれは元就でも落とすのに5年かかるわ。偉大すぎる父と優秀な弟たちを持ったがために苦悩する隆元くんに親近感。2019/10/08