出版社内容情報
ますます好調の鬼役シリーズ、新境地の第三十一弾。幕府役人の連続殺人が起きる。背後にいた黒幕の正体とは――。
内容説明
「お命を頂戴いたす」将軍家毒味役矢背蔵人介は、下城途中で刺客に襲われる。襲われた理由は、先日、老中水野越前守忠邦の命を救ったからだという。難なく刺客を制したものの、刺客の素性を調べ始めたところ、紀州の材木問屋の存在が浮かび上がってくる。「奸賊を討て」と無頼たちを煽る黒幕の正体とは―。鬼役が己の心に従い悪を斬るシリーズ三十一弾。文庫書下ろし長編時代小説。
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年、新潟県生まれ。11年の会社勤めを経て文筆の世界へ。時代小説を描く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
147
シリーズ31弾!今回の3話とも鬼役・蔵人介の『情』を感じる顛末だった。特に『去りゆく者』は老中・水野と絡む三話目は良かったなぁ。だが、シリーズが長くなると終わりが気になるのは何故だろう··2020/12/27
やま
96
シリーズ31作目 2020.12発行。字の大きさは…中。色無き風、国芳受難、去り行く者の3話。将軍の毒味役である御膳奉行・矢背蔵人介は、幕臣随一といわれる田宮流抜刀術の達人であり、密命により幕臣の不正を断つ暗殺役という裏の顔があります。海防策のため江戸、大阪の大名、旗本の知行地を取り上げ、代替地を与える上知令を進める老中首座水野忠邦を助けた蔵之介は、上地令で儲けようとする公儀勘定奉行、熊野屋を…。蔵之助が、上知令に振り回された若侍と、その病弱の母、目の悪い妹を助けるくだりが身につまされます(涙)🌿続く→2021/03/17
とし
72
鬼役「殿中」31巻。将軍家毒味役矢背蔵人介、今回は何時もの鬼役に撤する蔵人介よりも、情けをかけた蔵人介を感じましたね。最終巻が間近を感じますが。2021/07/20
ぶんぶん
22
【図書館】いつも通りの3篇、可も不可も無く淡々と物語が進んで行く。 何か、大きな「うねり」の様なものが欲しい、所詮は「奸賊成敗」といった小さな小手先技で無く、「矢背家」を揺るがす様な一大事とか。 徳川幕府を震撼させる話とか、日常から脱却して欲しい。 「鬼役」も、もう三十一作目、そろそろ大団円を迎えても良い頃だと思う・・・そろそろ、登場人物に光を当てて、一人に一章の物語を作っても良いと思います。 坂岡先生、有終の美を!2021/02/09
ひさか
15
2020年12月光文社文庫刊。書き下ろし。シリーズ31作目。色無き風、国芳受難、去りゆく者、の3つの連作短編。老中水野忠邦失脚までの話に蔵人之助が絡む。いつもの流れとは少し違う行動をとる蔵人之助が面白い。随所に救いが多いのも楽しい。2021/01/26