光文社文庫
妃(きさき)は船を沈める

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  • サイズ 文庫判/ページ数 284p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784334764043
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「妃」と呼ばれ、若い男たちに囲まれ暮らしていた魅惑的な女性・妃沙子には、不幸な事件がつきまとった。友人の夫が車ごと海に転落、取り巻きの一人は射殺された。妃沙子が所有する、三つの願いをかなえてくれる猿の手は、厄災をももたらすという。事件は祈りを捧げた報いなのだろうか。哀歌の調べに乗せ、臨床犯罪学者・火村英生が背後に渦巻く「欲望」をあぶり出す。

著者等紹介

有栖川有栖[アリスガワアリス]
1959年大阪府生まれ。’89年、『月光ゲーム』でデビュー。2003年、『マレー鉄道の謎』で第56回日本推理作家協会賞を受賞。’08年、『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobby

132
作家アリス17作目は連作中編とみせかけての長編本格ミステリ。別構想の物語がいつぞやか或る作品の後日談へと変貌して構成されたという快作。その過程を「はしがき」で知ってから読むだけに、意味深なタイトル『妃は船を沈める』が実に奥深い。「それを使うと3つ願いが叶うが災厄も訪れる」そんな猿の伝承で猿の風貌を翻弄した結果、猫への愛慕を許すまじと呪いが襲いかかるのは天罰か…なるほど!この2篇が組み合わさってこそ、ラストでの余韻が引き立つ!何より第二部「残酷な揺り籠」での火村の見事なロジカル推理で追い詰める緊迫感が絶品!2022/07/28

マーム

114
作家アリスシリーズの第八長編。タイトルに著者の作家としての自負を感じさせる作品。【猿の左手】W・W・ジェイコブズの『猿の手』に関する火村准教授の解釈は妙絶で、それが事件解決につながる流れは見事!【残酷な揺り籠】事件そのものよりも大阪府警捜査一課のニューフェイス高柳真知子刑事(愛称はコマチ)の鋭い洞察力に感銘を受けました。ネクタイをちゃんと締めない火村に関する「先生には何か犯罪に絡む強迫観念があって、それに起因しているのかな」という考察は鋭く、アリスもうかうかしていられません。火村と彼女の今後の絡みが楽しみ2012/10/19

五右衛門

81
読了。いつもとは少し違う構成でしたが長編、短編にも劣らず楽しめました。はしがきでの猿の手論争面白かったです。軽いホラーの取り方恐れ入りました。どちらのパターンもゾクゾクですが…大阪北部地震ネタも入ってました。友人宅が被災しましたがその最中にこんな事件が起きていたとは。近いうちにコロナ蔓延を題材にしたりするのかな。妃(きさき)は自ら船を沈めたのですね。火村・アリスコンビ全く飽きささず終盤まで一気読みでした。新登場?女性刑事さん割と推理力がありそうでしたが今後登場するのが楽しみですね。2020/04/20

HANA

67
連作中編二編で構成されたミステリ。「猿の左手」「残酷な揺り籠」の二つが収録されているが、好みは「猿の手」をモチーフにした前者、ミステリとしての完成度は後者の方が上だと思う。「猿の手」をミステリ的に読み解いたのは面白いけど、素直に怪談として楽しんだ方が初読の衝撃は大きそう。犯人が過去川でした事も無理付けだし。翻って後者は犯人が「何故それをしなければいけなかったのか」という一点から真相を導き出す傑作。こういうロジックに淫した所は学生アリスの長編思い出すなあ。様々な寓意が込められたタイトルと共に楽しめました。2021/12/14

ヒロユキ

59
『猿の手』は読んだことがないとはいえ、あらすじ程度は知っていました。まさかホラーではなくあんな本格としての解釈があるとは驚き。本編の謎解きもなかなかの出来だったんだけど、その新解釈が何よりも衝撃でした。2013/07/20

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