内容説明
―12世紀も半ばに差しかかろうというイングランド。フランスに追いやられていた女帝モードは、捲土重来、ウスターを攻め始めた。ところが逃げ惑う避難民のなかから、貴族の姉弟の姿が消えていた。密かに探索を進めていたカドフェルは弟を保護するが、その帰途、氷のなかで凍りついた死美人を発見する。はたして彼女が消えた姉なのか…。シリーズには珍しく、派手な戦闘シーンも登場する、人気シリーズ6作目。
著者等紹介
ピーターズ,エリス[ピーターズ,エリス][Peters,Ellis]
1913年9月28日、英国シュロップシャ州ホースヘイに3人兄弟の末っ子として生まれる。’33年から’40年までの7年間は科学者の助手・薬剤師として働き、第2次世界大戦では海軍婦人部隊に従軍。’36年に歴史短編小説を発表して、作家デビューを飾る。以後25年間に20冊以上の歴史小説を本名のイーディス・パージターで刊行する。’59年からエリス・ピーターズ名義で推理小説を書き始める。’81年にイギリス推理作家協会のシルヴァー・ダガー賞、’94年には大英勲章O.B.E.を授与される。翌’95年10月14日死去
岡本浜江[オカモトハマエ]
東京に生まれる。東京女子大学文学部英米文学科卒業。職歴は共同通信社記者、朝日カルチャーセンター講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
113
第6作です。先日読んだ北欧のミステリーを思わず思いだしてしまいました。氷漬けの美女、という何ともセンセーショナルな事件でなぜということとまた歴史的な事件が絡まって、カドフェル自身のこともあったりして楽しめます。2016/05/27
真理そら
47
再読。シリーズ第六弾。今回は美しいが賢くないマドンナが登場する。この娘のせいで事態が悪化する。とてもかっこいい従者が登場すると思ったらそういうことなのか。この巻でカドフェルに子供がいたことが分かる。2019/12/06
夜の女王
22
☆☆☆ 戦乱に巻き込まれ行方不明になった姉弟を捜索していたカドフェルは氷に閉じ込められた乙女の死体を発見する!!なかなか想像力を掻き立てる発端だけど、ミステリーというよりは歴史活劇の印象が勝る。個人的にはそっちの方が好みなので、シリーズ中で一番楽しく読めた。修道士カドフェルはアクションには参加できないので、代わりに息子が活躍。ラストの満ち足りたカドフェルのつぶやきで、読者も幸せな気持ちになる。クリスマスの奇跡は作者のサービスかな^^。2015/04/05
ぺぱごじら
21
スティーブン王による王位簒奪があったとはいえ、曲がりなりにもイングランドに治安をもたらしていた所に女帝モードの帰還と新たな争いの始まり。そんな時代背景が全く無関係ではない今回のお話は殺人事件の推理、といういつものパターンから少し離れた捜索が主題のお話。簒奪王か女帝か、立場は決めねばならないものの、可能な限り中立は貫きたい教会の思いと、『救えるものは誰でも救いたい』カドフェル修道士の思いがどこまで重なっていられるのかなぁと、色々先を考えてしまう一冊。2013-1692013/10/31
湖都
13
自主的行方不明の姉弟を探すうちに、盗賊の一味を倒す話。今作のマドンナである姉のアーミーナが、自分勝手な行動ばかりで全ての元凶。いくら反省してる美人でも、自分の息子(たぶん)の嫁がこの人でいいのか、カドフェルさん。そう、またカドフェルの過去が少し明らかになり、十字軍時代にできた息子(たぶん)が出てくる。でも、カドフェルは修道士なのに盗賊討伐に喜んで参加して設定崩壊してきているし、毎回似たパターンだし、時代背景もそんなに最近活かされていない感じがして、このシリーズの魅力がよくわからなくなってきた…。2019/12/02