内容説明
シュルーズベリは混乱の極みにあった。ヘンリー一世を後ろ盾とする女帝モードがフランスにいる隙に、イングランドの多くの貴族達に推される対抗馬、スティーブン王がシュルーズベリ城を陥落させたからである。その戦いで捕虜となり処刑された者、９４名。ところが、埋葬を頼まれたカドフェルが見たのは９５名の遺体だった。死体が多すぎる。誰が何のために死体を紛れ込ませたのか？高潔の人、カドフェルの追及が始まる。
著者等紹介
ピーターズ，エリス［ピーターズ，エリス］［Ｐｅｔｅｒｓ，Ｅｌｌｉｓ］
１９１３年９月２８日、英国シュロップシャ州ホースヘイに３人兄弟の末っ子として生まれる。祖母はウェールズ人。幼少期、地方史に造詣が深い母と一緒に、ウェールズ国境近くの古城や旧跡を見に行ったことが、将来の作家生活に大きな影響をもたらした。’３３年から’４０年までの７年間は科学者の助手・薬剤師として働き、第２次世界大戦では海軍婦人部隊に従軍。’３６年に歴史短編小説を発表して、作家デビューを飾る。以後２５年間に２０冊以上の歴史小説を本名のイーディス・パージターで刊行する。’５９年からエリス・ピーターズ名義で推理小説を書き始める。’８１年にイギリス推理作家協会のシルヴァー・ダガー賞、’９４年には大英勲章Ｏ．Ｂ．Ｅ．を授与される。翌年’９５年１０月１４日死去、享年８２であった
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感想・レビュー
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KAZOO
131
かなり歴史的な部分での話は多くなっています。死体が一つ多くなっている、ということですが、むかしはそんなことまで気をつけていたのかなあという気もします。結構カドフェルという人物は世間の酸いも甘いもかみ分けている感じで問題解決を図っていくのがいいですね。いかにも探偵ということではなくさりげなさがいいと思います。2016/05/10
アキ・ラメーテ＠家捨亭半為飯
44
修道士カドフェルシリーズ2作目。スティーブン王と女帝モードの内戦でシュールズベリーの町がきな臭い。そんな状況下、カドフェルの下に、新しく入った見習い修道士の若者がつく。スティーブン王の勝利でモード女帝側についており処刑された94名……のはずが、1人多い。誰かが被害者を私的に殺してどさくさに紛れこませたのだった。調査に乗り出すカドフェル。女帝モードへ届ける財宝、行方不明の姫、抜け目のない野心家ヒュー・ベリンガーにハラハラさせられる。殺人事件と歴史的事件、2組のカップルの恋模様。面白かったです。2016/11/28
真理そら
40
再読。シリーズ第二弾。ヒュー・ベリンガーが魅力的。偽悪的すぎるかもしれないが、カドフェルの小屋で一緒に宝物の包みを広げる場面は何度読んでも笑ってしまう。野心家すぎるロバート副修道院長に対しても良さを見出すカドフェルの公正さがベリンガーについての判断の目くらましになっている気がする。シリーズの中でも好きな巻だ。2019/12/02
たち
23
最後の最後まで、どうなるのかわからずハラハラしていました。若い4人が欠けることなく幸せになって、本当にホッとしました。カドフェルの活躍もさることながら、ベリンガーの潔さも見事でした。ずっと、悪役かと思っていたのですが、最後はカッコ良かった～。2017/11/17
ぺぱごじら
20
『英国版南北朝(太平記)』と言えば分かりやすいかも知れない英国無政府時代(時系列は逆だけどね：笑)。どちらにも言い分があり、どちらにも落ち度がある、だがそんなことワシは知らんからワシの修道院菜園を荒らすな、そしてどさくさに紛れて神聖な戦いの戦死者に卑怯で愚かな殺人の死体を隠すな、という慎ましいエゴと戦士の高潔さを併せ持つ修道士カドフェル第２作。ブラザー・カドフェルは何だかんだ若人に対しては世話焼きでロマンチスト。知恵比べでは狡猾で悪戯好きで、カミサマには(それなりに)敬虔である(笑)。2013-1082013/08/11
