内容説明
山梨県で地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗。少女は死体となって発見された!県警は、遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕。執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。有罪は確定してしまうのか?そして真犯人は?現役の法律家が描く、スリリングな冤罪ドラマの傑作。
著者等紹介
朔立木[サクタツキ]
現役の法律家。2001年、裁判官の知られざる真の姿を描いた『お眠り私の魂』で作家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
69
再読!はぁ・・やっぱりなんだかなぁ~だった。『冤罪』永遠の課題なのか?!日本の警察・法曹界・・皆さん頭脳明晰だろうに、遅々として進まないのは何故なんだろうね。何処の世界にも良い人は居るし、クズもいるってことなんでしょうね・・しかし、この国はどうなっていくのだろう・・そして、明日は我が身か。翻弄されるな自分(汗)2015/07/21
ま~くん
63
小説と言うよりはまるでリアルなドキュメンタリー。第一部は冤罪とはこうして作られるんだと驚愕するシーンの連続。少女誘拐殺人事件の容疑者は誰でも憎い。だが担当刑事のあまりにも一方的な決めつけはとにかく恐ろしい。筋読みとはよく聞く言葉だが「容疑者をどうすれば犯人に仕立て上げることができるのか」この一点に尋問、証拠固めが進んでいく。死刑判決が出た後に冤罪を匂わすおかしな点が出てきてもそれを覆す難しさは半端ない。警察という正義を貫く組織を守るためには手段を選ばない。今はこのような取調べが行われていないと信じたい。2023/07/08
流言
63
これは凄いぞ。カタルシスの乏しさに関して不満がある人も多いだろうが、その点はリアリティとのトレードオフだろう。現役の法律家が描く重厚なリアリティと平易で読みやすい文章がぐいぐいと読者を読ませる。これでも作者にとってはかなりファンタジーに寄せた、リアリティを犠牲にした作品のつもりで書いたと予想している。冤罪の発生過程も誰が悪いとも言い切れない、いかにも現実でもありそうな流れで気分が悪くなる……とは言えやはり筆者が何を描きたかったのかが今一つわからず悶々とするのは否めない。読み物として楽しんでいいんですかね?2014/08/11
yukaring
61
冤罪はこうやって生み出されていくのか。現役の法律家が描くリアルすぎるリーガルサスペンス。有力者の娘が誘拐され、両親は警察の指示通りに動くが金の受渡しは失敗に終わってしまう。そして娘は死体となって発見。娘が殺されたのは金の受渡しの失敗つまり警察のせいなのか?怒りで警察に圧力をかける有力者となんとか速やかに犯人を捕まえて彼の怒りを解きたい警察幹部。そんな時ちょうどいい容疑者が現れ警察は彼を執拗に揺さぶり自白へ追い込む。無実の男はこのまま有罪にされてしまうのか?これは物語を越えて考えさせられるストーリーだった。2024/04/13
とも
59
気軽に手に取ったけど、予想外に重い内容でタジタジ。でも文体も堅苦しくなく読み始めると引き込まれた。作者である朔立木さんは弁護士で、それだけに犯人逮捕から裁判までの詳細がリアル。被害者、被疑者の家族の思いや、警察、検察、弁護士、裁判官それぞれの持つ正義もよく分かり読んでて唸らせられる事も多々。 登場人物にも嫌な奴や腹が立つ奴は居たけど、心底悪い奴はいなく、みんな人間臭かった。終わり方もモヤモヤは残るもののメデタシメデタシで終わらせないとこは逆にお見事かと。捜査や裁判の危うさ、冤罪の怖さを教えてくれた一冊。 2023/04/27