光文社文庫
セント・メリーのリボン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 246p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784334740313
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

失踪した猟犬捜しを生業とするアウトロー探偵・竜門卓の事務所に、盲導犬の行方をつきとめる仕事が舞いこんだ。相棒の猟犬ジョーとともに調査を進めるうちに、薄幸な、ひとりの目の不自由な少女のもとに行きつくが、やがて…(表題作)。限りなく優しい誇り高い男たちの人間模様を、無駄のない文体とハードボイルド・タッチで描いた、感動を呼ぶ珠玉の作品集。

著者等紹介

稲見一良[イナミイツラ]
1931年、大阪府生まれ。記録映画のプロデューサーを経て作家になる。’91年『ダック・コール』で第4回山本周五郎賞受賞。至純な魂を持ち続け、感動的な作品を生み続けた。’94年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

178
約10年ぶりの再読です。やはり10年の時が流れると以前読んだ印象とはまた違った感じになりますね。自分も30代から40代になり、色々と'傷み'を経験したからこそ伝わる作者さんの「ハードボイルド」を感じます。今のご時世、なかなかいないタフなオトコ達がそれぞれの話で、魅力を存分に発揮してくれています。発刊から20年以上の歳月を経て、今もなお、いや今だからこそ燦然と輝くハードボイルドなオトコスタイルにしびれまくりでした。表題作にも登場する「探偵」はモロにマーロウであり、それがまたとてつもなくカッコ良すぎでした。2018/09/01

chiru

99
『男の贈り物』をテーマとした短編集。ハードボイルド系だけど、全体的に人の優しさを実感できる温かみが印象的。稲良さんの描く男性は、不器用で少年ぽくてかっこいいというより、可愛いなと思う。大傑作だと思ったのは表題作。盲導犬探しの依頼を受けた男が、花屋で犬にリボンをつけてもらい、全盲の少女にかける言葉を練習するラスト。その一言に心が震えて、なにかとてもかけがえのないものに触れたような気持ちになりました。読友さんの素敵な感想で読みたいと思った本。この本に出会えてよかった。もっと稲見さんの作品を読みたいな。 ★52018/12/23

アッシュ姉

92
いい。実にいい。何ともいい。じっくり浸れる小説。犬と暮らす男が格好いい。惚れる。一話目から心惹かれて、表題作で鷲掴みされた。ハードボイルドには探偵が似合う。『猟犬探偵』でまた彼に会えるのだろうか。楽しみである。心踊る読書との出会いに読友さんに感謝。 2021/11/23

紫 綺

79
古き良き時代のハードボイルド短編集。やはり表題作が一番良かった。いなくなったり、盗まれたりした猟犬を探し出すという風変わりな探偵なのだが、何とも言えない良い味わいの人物で、一発で惹きこまれた。寡黙で偏屈そうでいて、紳士で優しい。そんな渋い男になりたい。2012/03/26

ぶんこ

56
5編の短編集で、それぞれの物語は、完全に別の物語でした。 どういう主題の本かが判らず、ハードボイルドなところが共通かなと思っては、 「麦畑のミッション」はちょっと違うかなと思ったり。 あとがきで、("男の贈り物"を共通の主題とした)とあり、慌てて全編軽く読み直しました。 礼儀正しく律儀で、悪い奴らには強面の主人公達。 小心者の私はハラハラしながら読みました。 「焚火」の謎のおじいちゃんが気になります。 表題作では、必要とする人全員に盲導犬がゆきわたる世の中を願ってしまいました。2015/03/21

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