光文社文庫
甘露梅―お針子おとせ吉原春秋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 284p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784334737030
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

岡っ引きの夫に先立たれた町家の女房、おとせ。時を同じくして息子が嫁を迎えたため、自分は手狭な家を出ることに。吉原で住み込みのお針子となったおとせの前には、遊女たちの痛切な生の営みがあった。さまざまな恋模様、その矜持と悲哀。そして自身にもほのかな思いが兆しはじめ…。今宵ひと夜の夢をのせて、吉原の四季はめぐる。哀切の傑作時代小説。

著者等紹介

宇江佐真理[ウエザマリ]
北海道函館市生まれ。1995年、「幻の声」でオール読物新人賞を受賞しデビュー。2000年に、『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、’01年には、『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞。人情味あふれる時代小説の書き手として人気を博す
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

312
うわぁ、素敵な...作品を読ませてもらった。素敵な、まで書いて、この作品をなんと呼んでいいのかわからない自分に気づきました。遊廓モノとくくるには、視点が遊女ではなく、お針子だし。ある意味恋愛モノ、しかも不倫?!しかも老いらくの...!もちろん、物語の横軸には、吉原に働く遊女たちの悲哀もあり...派手さはないものの、最高に好きな作品になりました。ぜひご一読を。2017/04/18

Shinji Hyodo

95
十手持ちだった亭主の勝蔵を亡くした「おとせ」。まだまだ息子や娘の世話にはなれないと、お針の才を見込まれて三十六のおとせが決めた奉公先はなんと、吉原の遊女屋だった。得意の裁縫の腕を活かして過ごした吉原「海老屋」での一年を六遍の短編に描く宇江佐さんの江戸物語。『ひょうたん』で宇江佐さんの時代物に目覚めて今日まで、読むほどに好きになる宇江佐江戸ワールドの情緒にどっぷりはまる今日この頃。2017/11/14

佐々陽太朗(K.Tsubota)

93
苦界に身を置く者は仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌の八徳を失った者として亡八と呼ばれる。苦界に身を沈めてなお人は夢や希望を持つことがある。そのようなものを持つことが許されないことと知りつつ、それを止めることが出来ない哀しさ。そうすることがかえって自分を苦しめることになると知りながら。失った徳の中に「情」は無い。自由をほとんど奪われてはいても、わずかに「情」に人間らしさを残そうとする女の胸にあるのは「矜持」、いや、人として認められない身の上にあって、それは「意地」と言い換えたほうががよいのかもしれない。2014/06/15

のり

92
夫に先立たれた「おとせ」は、吉原で、お針子としての新たな生活が始まる。仕事の正確さが周りの信用を集める。吉原の門の内外では、全くの別世界で規律も違い過ぎる。人望があるがゆえに、疎まれる事も多々…花魁の喜蝶と筆吉への想いが、切なさに押し潰される事に…出火の原因と結末にカラクリを感じる。浮舟に関しては、天上から下底に堕ちても後悔はなく、恩義ある店を思う心意気に震えた。凧助とのやり取りも、絶妙の掛け合いだったけど、吉原のお内儀は、優しさだけでは務まらないのも事実。2017/03/05

はつばあば

70
ここしばらく読メの方の宇江佐さんへのレビューがみあたらないのでへそ曲がりの虫が(^^;。岡っ引だった亭主が厄歳に亡くなり、36で後家。息子は彼女に子ができた。家は狭いし・・吉原に住み込みでお針子として働きにでたおとせ。最初は偏見もあったろうが気のいいおばちゃんのおとせさん、色々な恋に首を突っ込む。そりゃ遊郭ですもの悲哀もありゃ花魁としての矜持も持ち合わせた内容の数々。その中でおとせさんが心許せる太鼓持ちで花月の婿養子の凧助さんとのなんでもなかった付き合いが、風評被害から本気の恋に。温石の代わりに・・2018/09/21

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