光文社文庫
葡萄と郷愁

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  • サイズ 文庫判/ページ数 236p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784334733858
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

1985年10月17日、東京とブダペスト。同じ日の同じ時刻、人生の岐路に立つ二人の女子大生は、見えない絆で結ばれていた。若き外交官との結婚を承諾した沢木純子。夢のようなアメリカ移住を強く勧められるホルヴァート・アーギ。せまりくる決断の時、二人はどんな選択を…?家族、友情、そして愛。幸福を願って生きる女性の輝きをとらえた傑作長編小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

B-Beat

32
★「異国の窓から」に書かれていた作者がハンガリー青年の日本留学の身元引受人になったエピソード。本作は、明らかにそこらあたりから抽出された作品であることは想像に難くない。1985年の10月17日の東京午後5時。かたや同年同日のハンガリーブダべストでの午前10時。ふたつの場所でのお話が並行して展開される。その時間差は7時間。これが現実の東京・ブダべストの時差であることは解説を読んで知った。人生の分かれ道とは?振り返ってあの分岐点での自分自身は?などと思わずにはいられない読後感。宮本作品はやはり手元に置きたい。2013/11/18

June

23
東京とブタペスト。それぞれの街で、同じ時間に、数時間後に大きな決断を迫られている若い二人の女性。その二人が交互に描かれていく。二人は決断を前に揺れている、直前までざわつく感情。人に相談はしても最終的に決断をくだすのは自分。誰にでも降りかかる人生の選択はドラマチック。どう選択しようとも未来へと時間は向かっていくんだよなあ。2015/05/24

UK

22
東京とブダペストの同日の話が交互に展開される。東京は愛情と打算の狭間で結婚に迷う女性、ブダペストは夢と富に直結する養女・米国移住に迷う女性。それぞれ面白いが一体いつどこで接点を持つのか楽しみ。しかし読み進めても一向に2つの話は近づかない。ははあ。そういうことか。まったく違う国と背景でそれぞれ葛藤する二人の女性。いつだって、どこだって、そして誰もがそれぞれの葛藤に苦しむ。このお二人はそういう意味では贅沢な悩みなんだけどね。大人の小説でした。2016/07/19

steamboat

11
結婚相手を選択する東京の学生純子と、アメリカへ移住するかを選択するハンガリーの学生アーギの話。二人の人生は全く交わらないが、同じタイミングで人生の分岐点に立ち、同じ時間に決断を迫られているという面白い構図。二人の出した結論はある意味間逆だが、そこに至るまでの出来事もそれぞれに濃く、示唆に富んでいる。打算で相手を決めたと悩む純子に先輩が言った「心の奥の奥の、もっと奥にある目が、道を教えたんだ」という言葉が印象的だった。2016/01/03

ganari

10
1986年。錦繍といい宮本輝さんの作品は、まろやな味わいのある読後感を与えてくれる。東京とブダペストに住む二人の女子大生の二つの別々の話が、お互い交わることなく幕を閉じるという特異な構成で、その後の展開を読者に委ねた形になっている。純子が好きではない男と結婚を決めたのも、外交官夫人という肩書きが欲しかっただけではない。むしろ女のカンがあったからだ。アギーの場合は結局ハンガリーに残る選択をする。人生に正解なんて勿論ない。ただ誰にしも運命を実感する瞬間が来る。そういう経験は実は無意識下では日常茶飯事なのだ。2013/05/27

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