内容説明
日本探偵作家クラブ賞受賞作!人間心理の綾を鋭くついた本格ミステリー集。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県生まれ。東京医科大在学中の’47年、探偵小説誌「宝石」の懸賞応募に投じた「達磨峠の事件」が入選。’49年には「眼中の悪魔」「虚像淫楽」の2篇で日本探偵作家クラブ賞の短篇賞を受賞した。その後、時代小説も手掛け、’58年から開始の「忍法帖」シリーズで風太郎ワールドを確立。自由奔放な空想力と奇想で爆発的なブームを呼び、コミック化や映画化も数多くされている
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
37
島田荘司さんの『漱石とシャーロック・ホームズ』のレビューに山田風太郎が同じく漱石とSHのミステリを書いているとあり、読んでみたくなった。読みたかった漱石とSHもの「黄色い下宿人」も良かったけれど『誰にでも出来る殺人』はドキドキしながら読みました。途中から、もしかして、あの人が……とは思ったけれど、それでも、じゅうぶん楽しめた。読みすすむにしたがって、ドキドキからゾクゾクへと変わっていくような。忍法帖の人というイメージだったんですが、ミステリ作家としても、優れた人だったのだと認識を改めました。2015/07/20
geshi
34
探偵小説の構造はしっかりしつつ描く中心にあるのは人間の喜劇と悲劇という山風のスタンスはデビューから見られる。表題作や『虚像淫楽』『厨子家の亡霊』はどんでん返しがやりすぎてストーリーのまとまりを欠いているかな。『黄色い下宿人』はホームズ・パスティーシュとしてもよくできているしアノ人の登場はこれが初出では。『誰にでも出来る犯罪』は普通のアパートを舞台とした殺し殺される殺人劇を現出させる語りがうまいし、最も聖なる者が最も卑なる顔を持つ幕切れが鮮やか。2020/11/06
きょちょ
23
風太郎自身は以前、ミステリーは得意ではないと語っていたが、とんでもない!素晴らしい作品ばかりである。短編9作と長編1作収録。久しぶりに読み直したが、今回は、現在の日本推理作家協会賞受賞の「虚像淫楽」が一番面白かった。人間の「心」というものは、かなり複雑で奥深い。「死者の呼び声」も、二転三転大いに楽しませてくれる。江戸川乱歩や横溝正史、あるいは近年の本格推理小説がお好きの方は、かなり満足されるのではないか。★★★★★2015/12/19
犬こ
20
これこそ本格ミステリー。軽くない。1節1節よく考えられており、とても濃いぃ~わけです。現代ミステリーにはなかなか見当たらない巧妙なストーリーに満足です。2016/06/20
たち
14
山田風太郎、初読みです。医師でもある方だそうで、話の中に出てくる医学的な描写がリアルで気持ち悪いです。「黄色い下宿人」が面白いです。あの棗さんがこんなに名探偵だったとは!2016/01/02