内容説明
阪口健太、通称ピスケン。敵対する組の親分を殺り13年刑務所で過ごす。大河原勲、通称軍曹。湾岸派兵に断固反対し、単身クーデターを起こした挙句、自殺未遂。広橋秀彦、通称ヒデさん。収賄事件の罪を被り、大物議員に捨てられた元政治家秘書。あまりに個性的で価値観もバラバラな3人が、何の因果か徒党を組んで彼らを欺いた巨悪に挑む!悪漢小説の金字塔。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
171
『プリズンホテル』以来の浅田さん。う~ん、面白くない訳ではないのだが、とっ散らかった印象のまま読了…主役の「三人の悪党」が決して悪人ではなく、単なる生き方が不器用な男どもなので「ピカレスク」という言葉が似合わないからだろう。チームものの鉄則でもある「各々の特技で協力して巨悪に立ち向かう」という形になり切れていないのでスカッと感も薄い。人情劇とドタバタ喜劇がバランス良く組まれるのが浅田節の真骨頂だと思うが、そこまでには至れずに終わってしまった気がする。辛口で恐縮だが、シリーズを読み続けたいとは思えずに残念。2019/05/12
ehirano1
152
きんぴか三部作の正に序章というのがぴったりの本書。序章なのにハナからガンガン飛ばして来ますねwww。3人の悪党(私的には愛すべき悪党です)のキャラが文句なしで、よくもまあこういうのが考え付くなと感服です。一方で、ピスケンが軍曹と下町で蕎麦を食べる(本書では「ナワをたぐる」と記載されています)シーンは隠れた下町文化的な名シーンではないかと思ってます。2023/01/02
HIRO1970
135
⭐️⭐️⭐️面白かった。浅田さんにしか書けない作品だと断言できます。しかも長編なので続きがまだまだありそうです。これ以上無いくらい強烈なキャラの3人の主人公がそれでも現実味があるように感じてしまうのは著者の前提設計がしっかりしていて隙がない為です。それぞれが善だと思う理想に向かってハチャメチャな破壊工作を進めますが、皆、一本筋が通っている為不思議と悪事を働いているとは思えずむしろ爽快感すらかんじます。隠れ家の存在もバットマンやバベル2世のようで面白さを彷彿させました。笑い転げられる事必至のオススメ作品です2014/09/03
chiru
128
3人の悪党が、卑劣な裏切りの『落としまえ』を付けさせる、リベンジピカレスク小説。伝説のヒットマンの元ヤクザ「ピスケン」時代錯誤な元自衛官「軍曹」収賄罪を被った東大出のエリート官僚「ヒデさん」。元刑事ゴンさんの適材適所のキャスティングで手を組む3人の『勧悪懲悪』がスタート! 世間からはみでた彼らのズレた言動に、お腹が捻じれるくらい笑っちゃう😊 そして、ワルなのに、心は純粋で不器用で、バカ正直な彼らを応援したくなる。ラストの『good unluck!!』は、3人にぴったりで微笑ましいです✨ ★4.52020/03/22
つねじろう
91
悪党と云えば悪党なんだろうけど、その三人プラスワンの極端さは筋金入りで小気味良い。針振り切ってるよね。其々の所業は荒唐無稽だったりするけど妙に納得感はあったりする。各々絶体絶命に追い込まれた三人が復讐の為巨悪に真正面から斬り込んで行く。彼等の潔さと単純さは滑稽さも伴いながら斬れ味鋭く痛快で溜飲が下がる。敵役のキャラも丁寧に作り込んでいるので憎らしい分その追い込まれる反応も面白く声をあげて笑ってしまったよ。流石の職人浅田次郎。日常生活でいつの間にか固まった心をほぐしてくれる優れたエンターテイメント小説です。2016/02/29