- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > 雑学文庫
- > 光文社 知恵の森文庫
内容説明
「おばけは恐ろしい。だが、その恐ろしさに心を耕さなければ、しあわせは舞い降りてはこない。(中略)人類は、“神さま”と“おばけ”に支えられて生きてきた。だからこそ、そのどちらかが欠けても大きなしあわせを取り逃してしまうような気がする」(プロローグより)アジアの島々で出会った“おばけ”と“しあわせ”を巡る旅。
目次
第1章 精霊と黒魔術が舞い踊るバリ(おばけを恐れ、愛するバリ人;ある日本人女性を襲った怪異 ほか)
第2章 呪縛のとけたランカウイの空(二百年の呪いをかけられた島;“最近、人魚は見かけない” ほか)
第3章 琉球は気まぐれな妖怪を乗せて(妖怪キジムナーと暮らす人たち;魂をフラッシュする妖怪変化 ほか)
第4章 世界のおばけはボルネオへ還る(ポンティアナ伝説を追いかけて;ジャングルが奇跡をひき起こす ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三柴ゆよし
7
「島を愛する人はおばけを愛する」という著者の考えをいますこし進めて、「旅を愛する人はおばけを愛する」といってみたい気がする。自然と人間との距離が間遠になるほどおばけの存在感が希薄になるのは当然のことだが、いっぽうで明るい昼の世界がいや増す南方の島々では、人間の営為を嘲笑うがごとく、夜の世界の住人たちが跳梁している。すべての事象をあまねくピン留めする、血の気ない博物学精神をかなぐり捨てた著者のアンテナは、そうしたあやしげなモノの気配を鋭敏にキャッチする。おばけ好き、紀行文好きのどちらにもオススメの一冊。2011/03/08
HIRO1970
5
☆★☆アジアおばけ諸島で既読でした。内容は全く同じ・・・。2013/12/23
しんこい
3
アジアでもたたるのは七代先までか。こうやってもののけを感じながら暮らす生活がいつまで続いてくれるのか、と思いました。ボルネオには自然だけでなく妖怪の魅力もあったんですね2012/11/12
中村椋
1
ポンティアナって首だけじゃなかったんだな2013/03/11
松
1
京極夏彦の解説に膝を打った。博物学的視座に立つ(数々の“おばけ”、呪術、祭祀etc…をピンで止め標本にする)ことで近代化を進めてきた日本は、もはや日常と地続きに“おばけ”を捉えることを忘れてしまっている、というもの。東南アジアの島々では今でも“地続きの世界”が存在している…、そう考えると、バリやボルネオは全く異世界のように感じられる。日本にいても今ならまだ、意識すれば、あちらの世界と繋がっていられるかもしれない。お盆、お彼岸、厄払い…、今後は能動的に取り組みたい。そして孫子の世代まで伝えていかなければ。2012/09/07