内容説明
俺は同僚の片岡のデートのために一晩部屋を貸してあげた。その後、そのことを片岡から聞いた2人の同僚、本田と中山にも部屋を貸すことになってしまう。3カ月後のある日、いつものように、車から部屋に戻ると、見知らぬ女が寝ていて…。(「寝ていた女」)あなたのそばにいる優しい人が、いつの間にか怪しい人びとに―。著者ならではの斬新なトリック満載の傑作推理集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
365
題名が示すように主人公が出くわす「怪しい人びと」が織り成す奇妙な事件を綴った短編集。本書で語られる事件そのものに目新しさはないだろう。これぞ東野圭吾だ!と快哉を叫ぶような大トリックやどんでん返しがあるわけではない。しかし明らかになる事件に関係する人それぞれの心の持ちように東野ならではのエッセンスが込められているのだ。個人的ベスト「灯台にて」。このブラックなテイストと読後感はなかなかいい。そして工場勤めの経験ある私の主観を交えて「死んだら働けない」が次点となる。また「甘いはずなのに」も印象に残った。2011/02/25
夢追人009
352
東野圭吾さんの26冊目の雑誌連載の7編の短編集です。大きなサプライズはありませんが、庶民の人々の人生の一コマを切り取った運命の物語で、どこかに必ず意外な捻りが隠されていて生きる上での気付きと教訓を与えて貰え決して手遅れや絶望では終わらせない未来に続くストーリーですね。まあ少しオーバーな書き方ですが時間の穴埋めにぴったりな軽く読める一冊ですよ。『寝ていた女』同僚のデートの為に部屋を貸していた男が朝帰宅すると見知らぬ女が寝ていた。ふとした疑問を手繰り寄せた結果明らかになる巧妙な犯罪の手口。人を見る目を養おう。2022/08/26
Kircheis
287
★★☆☆☆ 『怪しい』出来事や事件について書かれた短編集。 推理ありどんでん返しありなんだけど、全体的に小粒な感じ。 強いて言えば『甘いはずなのに』が一番お気に入り。2019/04/14
mura_海竜
206
東野さん、久しぶり。私は長編があっているのですが短編読み。短編は細切れ時間でも読める。安心のミステリー。新婚旅行の『甘いはずなのに』が良かった。最後ドンデンなんだけど少し心温まる物語。しかし、短編で右往左往迷い無し、解決が早く物足りなさは残る。2017/05/03
Yunemo
206
1994年刊行ですか。20年も前の旧い作品なのに、なぜか新鮮・斬新!大仰なトリックなど無し、ごくごく身近にいる優しい人あるいは自身が、本当は一番怪しい人となってしまう。この表題の「怪しい人びと」に魅せられます。7編の作品で、6人の男と1人の女の葛藤をある部分辛辣に、ある部分ウィットをきかせて表現されます。「さもありなん」と妙に納得し、「そうじゃない」と否定し、あっという間に読了。この感覚がいいんです。何故に、こんな切り口をデビュー後10年の後に、またそれから20年後の今、持続していることに改めて感嘆。2015/01/12