光文社文庫<br> 夜は千の鈴を鳴らす

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光文社文庫
夜は千の鈴を鳴らす

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  • サイズ 文庫判/ページ数 337p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784334714536
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

JR博多駅に到着した寝台特急〈あさかぜ1号〉の二人用個室から、女性の死体が発見された。彼女は鬼島総業の女社長・鬼島政子で、検死の結果、死因は心不全と判明。だが、前夜、政子が半狂乱になり口走った「列車を停めて、人が死ぬ!ナチが見える」という意味不明の言葉に、捜査一課の吉敷竹史は独自の捜査を開始する。本格推理の鬼才が時刻表を駆使した自信作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

中原れい

42
旧版にて読了。ソウルオリンピックのとき死んだ人の謎が東京オリンピックのときの殺人にからむものと見破り、自費で調査をはじめる吉敷。時刻表や列車の構造が重要だけれど、それで読者に無理にも考えさせるより心情の描写に力が入っている島田節絶好調。ミステリとしては物足りなく思える人もあるかもしれないが、章によって描く時期を変えたり描かれる季節を「夜の千の鈴」と表現したうまさが全編にいきわたる佳作。アリス先生はエッセイで絶賛してたなあ。2019/03/09

coco夏ko10角

31
吉敷竹史シリーズ。寝台特急の個室で見つかった女性の死体、死因は心不全だが怪しい点があり…。メイントリックはあるミステリー作品のをベースにしたもの、そこからの現在と24年前との構成がうまい。タイトルもいい。2021/01/05

yumiDON

30
寝台特急「あさかぜ」の車内で女が死んだ。その女は死ぬ前に「列車を止めて、人が死ぬ、ナチが見える」と叫んでいたという。容疑者には、鉄壁のアリバイ。むむ…これはもしや、私の苦手な時刻表トリックか!?と思ったけど、さすがは島田先生。問題なく読めました。現在と過去が交錯し、謎が解ける時にはとてもすっきりとしました。時代が私が生まれる前の話でしたが、自分がそこにいるような臨場感が伝わってくる優れた描写です。あと、タイトルが本当にいい!!全部読むとこのタイトル以外ないな、と思う。2015/05/23

Tetchy

22
メインの事件がいつの間にかサブに回る構成でそれも現代の事件が24年前の事件に繋がる事になり、24年前の事件無くしては現代の事件が成立たなかったという凝ったプロットになっている。そして作者が今回選んだモチーフは「オリンピック」。この世界の祭りに新幹線開通を絡ませ、高度経済成長の荒波に人生を翻弄される姿を描きたかったのか。そしてやはり本作でも東京という「都市」に憧れ、殺人を犯してしまうという島田荘司の追い続ける都市の魔力というものが暗示されている。派手さはないが、やはりこのシリーズも読み逃せない。2009/05/03

LUNE MER

19
叙述トリックが秀逸。読者の推理をミスリードさせるのではなく、「吉敷の推理は間違っている⁈💦」とミスリードさせるために実に巧妙にワークしている。こんな騙され方出来る作品もそうそうない。そして、24年前の事件とのリンク。ストーリーが実に巧い。24年前のあの夜、線路脇に佇む姿と耳をつんざくような虫の鈴の音。「絵になる」という点においては島田作品の中でもベストの出来ではないかと。御手洗シリーズと吉敷シリーズの分業があるべきところに落ち着いてきたころの味わい深い逸品。2020/06/23

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