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内容説明
「鬼」とは、占い師、山伏、流人など、権力に屈し社会の周辺に排除された者たちをいう。だが、彼らこそが、恐るべき情報と情念をもって日本文化の基層を形成したのだ。歴史の転換期に、巨大な情報網を利用し、彼らは、「闇」の力を発揮する。隠蔽された「負」の歴史に焦点をあてた本書は、歴史的な変貌をとげる現代に、新たな「鬼」の出没さえ予感させる。
目次
1 魔境・京都
2 もう1つの「日本」・奥州
3 鬼を操り、鬼となった人びと
4 鬼の王国の放浪者
5 鬼の王国の破壊者は誰か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
29
梨木さん丹生都比売に印象的に登場した鬼。読友さんから出典は書紀の斉明紀と教示頂き感謝なのだが、この鬼とは何か。本書は、日本史で排除されたものを鬼と呼び、正史にない「もう一つの日本史」を民俗学者と民俗学写真家が語り尽くす。魔界空間京都等怪談系というより、伝説・説話・芸能等を丁寧に読み解きながら闇の排除と活用のダイナミズムで日本史が語られ刺激的だ。役小角/修験道/陰陽師/奥州地方国家/網野史学/忍者/水軍/篤胤/金光教等々、権力者=勝利者の歴史ではなく敗者の歴史、しかし希望の歴史への様々なヒントがある■922014/05/31
二笑亭
7
これで何度目の読了か、幾度と読み返している本。権力者側の表向きの歴史ではなく、その裏に存在する“鬼”とされ排除・賎視された存在から見た闇の日本史。社会の基本的な構図が過去も現代も大きく変わらない、というのが通して読んだ大きな感想。内部と外部それぞれに“鬼”を配置して作られた京都。修験者ら“鬼”が形成していた独自の情報網と権力者の関係。鬼を操り自らも“鬼”とされた陰陽師。信長・秀吉・家康それぞれの鬼に対する態度。教科書で習う歴史とはアングルの違う、複雑で深い闇の中にある歴史を魅力的に知ることができる。2022/09/12
月光密造者
7
小松和彦の対談で最もエキサイティングだと思う。古代から中世に「山」に住む人々のネットワークがあり、権力者を影から支えていた。彼等の異能に対する町人・農民達の畏れが、「鬼」という架空のキャラクターが造型される大きな要因となった。この指摘は未だに新鮮に感じられる。2011/10/01
出世八五郎
6
本当の歴史は知らず実際にこんなにどろどろ陰鬱な歴史ならそれはそれで魅力的だ。
さきのしろ
6
歴史モノが好きな人には是非読んで欲しいネタ満載の一冊。ゲームで言うならば遥時や魔人、妖怪系が好きな人にはネタの宝庫に見えるくらい面白い。対談形式になっているので読む側としても構えず読む事ができますよ。2012/08/24