感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
84
『涙流れるままに』に次いで吉敷刑事シリーズでは2作目。 吉敷刑事がボロボロになっても頑張る姿に胸を打たれる。 トリックは大胆で不可能に近い感じがするけど、あまり気にならないのは、どこまでも通子を守り抜こうとする吉敷刑事の男らしさや純愛のほうに気がいくからかな。 「ただ君自身の幸せのために…ただそうしたくて頑張ったんだ。」という、男らしくて優しい吉敷刑事と辛い過去に苦しんだ通子には幸せになってほしいです。 ★32018/03/21
セウテス
80
吉敷竹史シリーズ第3弾。〔再読〕前作までは吉敷本人の私生活について、大した情報は描かれていなかったが、本作では離婚した妻の通子が登場する。更には通子が事件の中心に居る事から、吉敷の内面的な事が描かれる作品となっている。彼女の突然の電話から始まる物語は、北海道釧路のマンションで起こった殺人事件へと繋がる。伝説も絡む怪奇現象、不可能犯罪の謎は、どちらかと言えば御手洗シリーズに思っていたが、本作のトリックはさすが島田先生ならではだ。タイムリミットが在る事で、ボロボロになりながらも真実を追求する吉敷の姿が映える。2017/12/08
三代目けんこと
69
奇想天外なトリック。古き良きミステリー。2021/03/30
中原れい
69
ついつい進めてしまう面白さ。源義経が愛されて遠くまで行ったことになってることから深まってしまった謎は、やや強引なトリックで解かれる。自分はトリックが説明されてればそれでいいんだなあとしみじみ…吉敷竹史としては爆発的な感情で動いた数日間だし、これでいいのよねと言い訳して。舞台になった建物の特殊性も「東京地方にはよく見かける」ときちんと説明されてて、あああの形ね、と納得出来ました(次々壊されてて淋しいですが)また行きたいなあ釧路…2018/10/17
Tetchy
66
内容は純本格、文体はハードボイルド調と、実に島田荘司らしい仕上りになっている。今回の目玉は2つ。まずは吉敷物とは思えぬほどの超絶技巧を凝らした大トリックの殺人。吉敷が解くというのが珍しい。2点目はやや没個性的だった吉敷の個性、存在感がいつにも増して顕著だったこと。通子の存在が不屈の精神を幾度となく蘇らせ、熱い魂と言葉を持った存在にまで押し上げている。2009/03/23