カッパ・ノベルス
The unseen見えない精霊

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  • サイズ 新書判/ページ数 233p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334074661
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0293

内容説明

インドの森の奥深く、僕の目の前の老婆は突然語り始めた。その声と言葉は、自らの不可能な死を語るカメラマン「ウィザード」のものだった。飛行船の闇の中、彼に死を与えるために来た美しい少女と、見えることしか信じない彼の戦いが始まる。彼の武器は鋭利な頭脳、巧妙な論理の罠。だが、彼の罠を次々に突き破る少女の論理と見えない精霊の力。大胆に読者に突きつけられる質問状、あなたは解けるか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aquamarine

72
出てくるのはシャーマン、精霊、飛行船、奇妙な儀式に仮面の男。インドの森の奥で、密室状態の飛行船内で殺された男がお婆さんの口を借りて語ります。この舞台の持つ幻想的な雰囲気は結構好きです。きちんと読者への挑戦が挟まる本格で、描写がこれでもか、というほど細かいので思わずメモを取ったりしましたが全く歯が立たず。解答が示されて初めて、がっつり伏線が張ってあった!と今度は歯ぎしりをしたくなりました。人により評価は変わると思います。トリックありきの作品だと思いますが、読後感も悪くなく、私はさくっと楽しめました。2016/10/11

財布にジャック

57
インドのジャングル、精霊、シャーマン、密室、仮面、連続殺人、読者への質問状まで、まぁいろいろと詰め込んでありましたが、そんなことに気をとられていたら、この謎は解けませんでした。あ~っ、伏線があんなところに~っと叫んでしまうようなオチでした。とにかく凄いんです!このトリックありなの~?すっかり作者の思うツボにはまってしまい、落ち込んでしまいました。そして内容は良かったんですけど、この表紙のお面が怖すぎて嫌です。2011/10/21

雪紫

55
幽霊は自らが殺された経緯を語る。彼は撮影のためには手段を選ばないカメラマン、ウイザード。傭兵3人の協力あって撮影禁止のシャーマンを撮影した結果、死なせた報いで、彼ら全員が不可能状況で「精霊」に殺害されたのだが・・・。トリックのために作られたいかにもな場所、淡々とした文体。だが少女とウイザードの繰り返す論争の熱は別として、何処か幻想的な雰囲気が強く、幽霊となった彼の悟りと聞き手の語りがしめやか。だが読み返してみると序盤から堂々と伏線が描かれてることに愕然。確かに活字による大マジックショーに偽りなし。2021/10/13

藤月はな(灯れ松明の火)

52
『火蛾』の小泉迦十氏のようにこの作者の作品も一作だけ。しかし、唯一の作品の完成度は素晴らしいものでした。見た者しか信じない「ウィザード」と呼ばれる、野心家の写真家と大シャーマンを死に至らしめた彼らに精霊をもって鉄槌を与えるべく、召喚された少女との頭脳戦。緻密に組まれたロジックに人間には不可能に思える事件の神秘性との両立が綺麗に成り立っていた感動は忘れられないでしょう。全ての情報が提示されたうえでの読者への挑戦もあり、かなりの本格。『火蛾』と同じく、多くの人に読んで耽溺して戴きたい作品です。2014/04/22

カノコ

37
ずっと読みたかった作品を、偶然にも図書館で見つけた。飛行船の闇の中、「精霊」が禁忌を犯したカメラマンに死の鉄槌を下す。手をつないで輪になって回る人間の中心に突如現れた仮面の男、誰もいないはずの部屋から聞こえるノックの音。本当に精霊は存在するのか。バカミスの域に入る作品だと思うが、シンプルなトリックを最大限生かすための舞台装置が素晴らしい。二回に渡って読者へ叩きつけられる挑戦状も、事件の不可能性を際立たせている。「見えない精霊」を確かに作品の中に顕現させたその強引な手腕に惨敗。個人的には大好きだなあこれ。2019/06/21

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