出版社内容情報
松本博文[マツモト ヒロフミ]
著・文・その他
内容説明
ついに将棋ソフトが名人を破り、「コンピュータが人間を超えた」という現実は誰の目にも明らかになった。棋士とコンピュータが対局する電王戦の終幕、藤井少年の快進撃、最強ソフトを目指すプログラマたちの執念の戦い…天才の誕生とコンピュータの進化で大きく揺れる棋界の最前線を追う。
目次
第1章 最後の電王戦第1局―真の最強者を決める戦い
第2章 次の最強者現る―名人に勝ったソフトを退けるソフト
第3章 最後の電王戦第2局―歴史が変わった日
第4章 天才とは対極の伝説の棋士―「退会」した唯一無二の男
第5章 コンピュータ将棋の進化は止まらない―PONANZAの引退
第6章 天才の可能性とAIの進化―人間がソフトに再び勝つ日は来るか
著者等紹介
松本博文[マツモトヒロフミ]
将棋記者、ルポライター。1973年、山口県生まれ。東京大学法学部卒業。東大将棋部OB。在学中より将棋書籍の編集を行う。名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力し、「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。主な著書は、第27回将棋ペンクラブ大賞受賞作『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
61
将棋がわからない読者でも読めるし、わかればなお楽しめる。コンピューター将棋を中心とした最近の将棋界の動向がメインだが、局面には思わず手に汗握り、読み進めるだけで将棋に関する知識が増える親切な構成でとても面白かった。著者の棋士に対する敬意が伝わってきた。2018/03/22
チャー
11
本書では2000年代中頃から最近に至るまでの将棋AIが発展してきた背景やそれらを作り上げたプログラマーたちと、AIとの対局などで活躍した棋士たちの戦いを詳しく綴っている。今では対極に表示されるAI評価値やアプリなど、身近なところで多く見かけるが、いわゆる電脳戦のハイライトなど、広く認知される前の頃からの記述は大変興味深い。人であれば指さない手も速やかに駒を運ぶ指し方は、さすがはコンピューターと感じる。一方で、人間同士の熱い対局も目が離せず、棋界を盛り上げる意味でAIの活躍は目覚しいと感じた。2021/05/13
チェアー
11
答えは出ている。藤井聡太ですらAIには勝てない。いまは。しかし、数十年、百年後、人間がAIを超える可能性はあるとも示す。コンピューター将棋の歴史をひもとき、現状がいかに遠くまできたかを示しているが、なにより筆者が書きたかったのは「幻の棋士」永作芳也のことだろう。いま、永作のことをこんなに熱を込めて書けるのは筆者しかいない。ぜひ単独の本にまとめてほしい。コンピューター将棋がもたらした地平をまだ人間は受け止めかねている。その途中報告がこの本だ。2018/08/08
Sam
8
ちょっと前の本ですが、古さは感じませんでした。藤井くんの話、AI将棋の話、そしてなぜか永作さん(懐かしい!)の話と、興味深く読めました。私は渡辺明さんの惚れ惚れするような鋭い攻めにいつも感嘆させられてますが、木曜日の棋聖戦は藤井くんの応援にまわるかもな。2020/07/13
プラス3
4
藤井7段や羽生竜王、コンピュータ将棋など、ここ最近の将棋ルポ。コンピュータ将棋についてある程度知ってる自分からすると、一般受けを狙ったこのタイトルはちょっと無いなと思う。全体的に既に知ってる話が多く、もう少し踏み込んだ話をしてほしかった。ただ「名人になれないと悟ったから」という理由でプロを辞めた将棋棋士の話は初めて聞く話で、なんかくるモノがあった。2018/06/19