内容説明
コンピュータのハードウェアは、昔に比べて何百万倍も進化しているのに、あまり使いやすくなっているようには感じられない。また、爆発的に普及したスマホは知的生産には不向きで、流れてくる情報を見るだけの時間潰しのツールになっている。本来コンピュータは、人間の能力を拡大し、いつでも/どこでも/誰でも使えるツールとして構想されてきたものだ。では、その方向に正しく進化するにはどうすればいいのか?ユーザインタフェース(コンピュータのような機械を人間が使えるようにする仕組みのこと)の第一人者が、豊富な事例を交えながらわかりやすく解説する。
目次
1 心理とデザイン
2 開発の発想
3 ウェブ時代のトレンド
4 ユビキタスな生活
5 楽々情報整理
6 安全と秘密
著者等紹介
増井俊之[マスイトシユキ]
1959年兵庫県生まれ。博士(工学)。東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修士課程修了後、富士通、シャープ、カーネギーメロン大学客員研究員、ソニーコンピュータサイエンス研究所、独立行政法人産業技術総合研究所、米アップル社などを経て、2009年より慶應義塾大学環境情報学部教授。情報視覚化、情報検索、例示/予測インタフェース、テキスト入力システム、実世界指向プログラミング、実世界指向GUIなど、ユーザインタフェースに関連する各種の研究を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
30
世の中に何かを忘れる技術について書いた本は多くありません(28頁)。言われてみれば頭の中の断捨離ってのはなかなかしにくいものだ。知識の呪縛:知識を得て知識がないときの状況がわからなくなるという現象(35頁)。人間は時間的変化の認知が不得意(71頁)。動きをはっきり認識している場合でも、将来変化について的確に把握することは難しいもの(73頁)。人間は確率的思考が不得意(87頁)。良いものに触れるのも大事だが、人間には変化や驚きも大事(110頁)。 2015/06/19
ダンボー1号
11
充分使いやすいと思っていた自分はジョブズに騙されていたのか?より使いやすいUIとは?一つ一つの話しは難しい訳でもないけど断片的に理解できても上手く頭の中につながってこなかった。自分は消化不良で読了です。2015/05/23
スプリント
9
タイトルから想像した内容と異なりましたが読み応えのある内容でした。新たな技術を活用したサービス、新しいサービスを実現するための技術開発など興味を惹かれる内容でした。2015/08/30
くりりんワイン漬け
8
これは新書というよりも専門書として立派な本にしたほうが良いのではないか。本書の始まりはデザインにおける人間の心理について基本的な項目について解説をしている。(軽く考えて購入した方は第一章は読み飛ばしたほうがよさそうです。絶対に挫折し以後の楽しい世界を見ずに終わるから)3章から新しい考え方が出てきます。ここからが皆さんの好きなお話になるのではないでしょうか。私は1章と2章が好きな変わり者ですが。2017/10/30
Kei
7
コンピュータの使いやすさを進化させるためには、1人間の心理や特性を理解し2新しい発想を育て3ウェブのトレンドを理解し4ユビキタスコンピューティング技術を理解し5頭を整理することができるような6信頼できる安全なシステムを開発していくことが重要です。 多くの人びとが楽しんだり極めようとする趣味が成立しているのは、実は「自己満足したい気持ち」や「自慢したい気持ち」が原動力となっているように思います。安定化を求める心理を「修正欲」として利用すると、「人力パワー」を活用するサービスが可能になります。2020/07/20