光文社新書<br> 名作の書き出し―漱石から春樹まで

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光文社新書
名作の書き出し―漱石から春樹まで

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  • サイズ 新書判/ページ数 285p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334035259
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

内容説明

書き出しを読めば、その小説のすべてが分かる。

目次

花になりたかった女―夏目漱石『それから』
誰でもない自分―谷崎潤一郎『痴人の愛』
自分を「子供」に見せる語り―太宰治『人間失格』
駒子が愛したのは東京の男―川端康成『雪国』
有為子のために―三島由紀夫『金閣寺』
真実の言説の作り方―大江健三郎『万延元年のフットボール』
父系の神話と母系の神話―中上健次『枯木灘』
空虚な「愛」は語ることができない―村上龍『限りなく透明に近いブルー』
記号の森へ/記号の森から―田中康夫『なんとなく、クリスタル』
公然の秘密を楽しむ―向田邦子『あ・うん』
女が文体を女装する―山田詠美『ベッドタイムアイズ』
少女の文体と新しい性の形―吉本ばなな『キッチン』
揺れ続ける性の向こうへ―松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』
女として読むこと―江國香織『きらきらひかる』
「こちら側」の自分はいつも孤独―村上春樹『スプートニクの恋人』

著者等紹介

石原千秋[イシハラチアキ]
1955年東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程後期中退。現在、早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

12
「作者の意図」を問うという読書感想文的な読解方法から離れ、「テクスト論」的に読む方法を実例を通して学ぶのに最適な新書。読んだことない『雪国』、『万栄元年のフットボール』とかが完全にポルノで、中高生には読ませられないなあ。やはり、最初と最後の、漱石と春樹の分析が一番力が入っている。「いうまでもなく・・・は男根のメタファーであり」調のフロイト的分析が続くと、全部抑圧された性欲で説明するのかよと食傷気味になることも多いものだが、これを読むと、この手法の迫力に圧倒されてしまう。スプートニク、男女間の友情への物語。2018/05/19

佐島楓

9
自分の文章能力の限界を感じ、勉強用に購入したのだが、How to物ではなくテキスト論だった。当初想像していた内容とは違ったわけだが、結果的に学べる事項が多く、嬉しい。十五作品の半分ほどが既読だったこともある。小説家は、意図的に技巧的に文章を操らねばならないという基本だが私にとっては高等なテクニックを自覚させてくれた。有難い本であった。2011/11/15

gelatin

7
★★★★ 何を名作として取り上げてるんだ?という興味から手に取って、予想以上に面白かった。テクスト論も、少し真面目に勉強しようと思っていたところだったのでなおさら。筆者の人となりによらず、テクストから小説を分析すると、より小説世界に耽溺できるのも分かる。後半3作品はちょっと流し気味の分析に感じられるが。『ナチュラル・ウーマン』だけ読んだ事がないのだけど、まずは漱石から読み直そう。2014/11/25

YVI

6
作者の写真を見て、経歴を見て、それらを思い浮かべながら背景をなんとなく探りながら読んでいた今までの自分の読み方がいかに窮屈で退屈だったかに気づいた。また、自分に引きつけにくい内容だと辛く感じるのは、私が自分の性別である女の視点でしか読もうとしていないからではないかと気付いた。それらを全て取り払って、書かれていることのみから読み取ろうとするテクスト論の読み方を初めて知ったけれど、この方がずっと作品世界を楽しめるような気がした。また、小説の過激な内容ばかりに注目せず、本質を掴むのに必要な読み方だと思った。2021/03/25

猫実

4
テクスト論者の本の良さは、知りもしない所からの引用が少ないところですね 筆者に固執すると当時のよくわからん法律や仲がいいのか悪いのかもわからん同年代の作家がガンガン引用され、読んでいて萎えてしまう この人はヴィトゲンシュタインやマルクスサルトル等、易しい引用が多い ありがたい2018/12/19

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