出版社内容情報
「読む人にわかりやすく印象に残る文章を書くために、プロの作家はまず、接続詞から考えます」。ふだん何気なく使っている接続詞の全体像や具体的な役割を解説。文豪や名文家の文章を参考にしながら、接続詞使用の勘どころを身につける。
内容説明
多種多様な役割を知り、効果的に使い分けるには―接続詞使用のセンスを磨くための小辞典。
目次
接続詞がよいと文章が映える
接続詞とは何か
接続詞の役割
論理の接続詞
整理の接続詞
理解の接続詞
展開の接続詞
文末の接続詞
話し言葉の接続詞
接続詞のさじ加減
接続詞の戦略的使用
接続詞と表現効果
著者等紹介
石黒圭[イシグロケイ]
1969年大阪府生まれ。神奈川県出身。一橋大学留学生センター・言語社会研究科准教授。一橋大学社会学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は文章論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
85
文章を書く時、その時の気分で接続詞を選んでいるので、後で読み返すと違和感を覚えることが多々あります。本書は、「接続詞とは何か」から始まり、「接続詞の役割」から、四種十類(!)に分けた接続詞の詳説と続きます。本書を読んで、なるほど、こういう理屈があったのか!と気づきます。文章だけでなく話し言葉についても述べ、この戦略的使用方法、表現効果と論を展開しています。何気なく使っている接続詞が、意図とは逆効果になることもあるとのことで、特に発言では気をつけなれけば…。本書の内容を長く記憶していられないのが難です。2021/03/26
ニッポニア
74
接続詞はないのが普通、あるのが特別、だが、効果的に使えば説得力をます、豊かな表現が可能。使いこなそう。以下メモ。接続詞をきっかけに読者に印象を残す。接続詞に問われているのは、命題でなく、書き手がどう意識し、読み手がどう理解するかという解釈の論理。書き手の論理で書いた文章はしばらく寝かせ、自分と切り離す。「すると」の使い方。ミスチルの歌詞に効果的な接続詞多い。読み手の注意を喚起する。話し言葉と書き言葉の接続詞の違い。漱石坊ちゃんの最後の接続詞の潔さよ。それから、接続詞がタイトルの小説もあり、意識してた?2023/07/22
鱒子
65
接続詞。単体では意味をなさず前後の文を繋ぎ、それを増幅させる効果さえ持っている。ーー正直言って今までなんとなくフィーリングで選んでいました。改めて考える良い機会になりました。「のだ」「と思われる」などの文末表現まで接続詞に含まれるという事にビックリ。知りませんでした。巻末の索引が役に立ちそうです。2020/01/31
ネギっ子gen
56
読む者にわかりやすく、印象に残るような文章を書きたい。その気持ちはあるが実際どうすればいい? その答えは、題名のごとく、文章は接続詞で決まると著者は書く。だが、接続詞に特化した本がほとんどなく、研究者も少ないのが現状だ。それはなぜか? その理由として、<一文の構造とは直接関わらない周辺的な品詞だからでしょう。また、動詞や助詞に比べて、論理が見えにくく、わかりにくいという事情もあります。その証拠に、幼児が習得する品詞の中でもっとも遅いものが接続詞だと言われています>と。本書に相応しい索引があるのが嬉しい。⇒2022/12/05
みつ
52
接続詞を「論理」「整理」「理解」「展開」の4種の機能と10類の系統に分け、特殊なものとして「文末」と「話し言葉」の接続詞を取り上げる(p56)。接続詞によって文章がいかに分かりやすくなるかを、逆効果の例にも触れつつ多くの実例を挙げて述べていく。その意味では、接続詞に焦点を当てた文章読本といってもいい。特に特殊な2系統についてが面白い。前者の「〜のだ」で言葉の解釈が変わる例。後者の対話での使用のリスクには(戒めも込めて)納得。井上ひさしが激賞した『坊っちゃん』最後の一文の「だから」に触れてくれたのも嬉しい。2023/11/04