光文社新書<br> 国家と宗教

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光文社新書
国家と宗教

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  • サイズ 新書判/ページ数 229p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334033736
  • NDC分類 316.2
  • Cコード C0214

内容説明

キリスト教、イスラーム、仏教、そして神道、天皇…。世界をどう見ればよいのか。

目次

第1章 キリスト教と政治(キリスト教とローマ帝国;中世における宗教と国家 ほか)
第2章 イスラームと政治(イスラームにおける世俗権力の変遷;政教一元:タウヒードの政治思想 ほか)
第3章 仏教と政治(イデオロギーとしての仏教;ゴータマ・ブッダの政治思想 ほか)
第4章 日本宗教と政治(仏教と鎮護国家;天皇と仏教 ほか)

著者等紹介

保坂俊司[ホサカシュンジ]
1956年群馬県渋川市生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修了。麗澤大学国際経済学部教授、ならびに東京大学大学院講師、早稲田大学政治経済学部講師。東方研究会、東方学院講師。専攻は比較宗教学、インド思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちさと

30
宗教と政治、あるいは国家が、それぞれの文明の中でどのように相関し現在に影響しているのか。比較宗教学者である著者は、宗教と社会の有機的一体性を現代社会の分析に導入する大切さを語ります。アメリカ人がアメリカ人(宗教多元主義・世俗主義)たるのもプロテスタントの熱狂的な信仰運動の産物だし、日本人が日本人(宗教には無関心だけれど「政教分離」主義)たるのは一元化できなかった宗教が所以なのかな。比較文明論の立場から宗教と政治の関係に集中するという視点が新しかった。2018/10/03

白義

15
流石に記述の範囲が広すぎてキリスト教とイスラム教については入門書的な範囲ではあるが、著者の専門であるインド仏教については本格的。対立項同士の対立も無化する空の思想は、当時国際都市だったガンダーラにおいて融和の思想として有力であり、そうした価値多元社会の共存という理念を取り入れようとしたのがクシャーン朝であったという。仏教という非政治的に見える宗教であっても当時の古代国家、帝国には特有の政治的魅力があった。仏教伝来からの日本宗教史概観も簡潔だが、光格天皇が近代天皇制の祖であるといったような興味深い部分が多い2020/12/06

ラウリスタ~

12
西欧近代にとっての普遍的価値「政教分離」は、より大きい歴史的地理的視点から見るとむしろ例外。政治は宗教から分離した一要素。この本で面白いのは、筆者が専門としているインドの宗教事情だろう。ヒンドゥー教の厳しい差別構造の中で、不可触民は常に外来の宗教(現代でも、新仏教、イスラム教、キリスト教)に移りたがる。アメリカの黒人のイスラム改宗(マルコムX)にも通じる。日本では19世紀初めに光格天皇が900年ぶりに「天皇」という呼称を用い、仏教から離れた神道の(創造的)再興を始める。廃仏毀釈は西洋化中の日本らしさコンプ2018/05/05

むとうさん

5
「政教分離」が絶対原則のようにいわれているけれど、世界を見ればそんなことはなかったよという本。そもそも近代国家のベースにはキリスト教的な思想があるし、イスラムは宗教が政治そのものだ。政治と距離を置いていると考えがちな仏教ですら、少し違う形で影響力を持っているということ。聖徳太子の「日出天子~」に仏教の平等思想があったとか、仏教導入と西洋文明導入をパラレルに見る見方、神道がいきなり死を扱うことになって混乱したといった話は興味深い。最後靖国神社の話で終わるのは結論としてはちょっとふんわり気味な印象。2013/04/03

にゃん吉

4
比較宗教学、比較文明論の手法、観点から宗教と政治、国家の関係を分析するという意図のもと、政教分離の相対性というマクラから、キリスト教、イスラム教、仏教と政治、日本の宗教と政治の関係が叙述されています。著者のご専門ということか、古代インドの仏教に関する叙述が詳細なカンジがありました。日本の廃仏毀釈について、仏教伝播地域に特有の宗教・文明相克の構図のひとつであるとの指摘や、非暴力的に普及した仏教の空や縁起の思想の現代的な可能性を指摘しているところなど興味深くありました。      2020/09/22

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