光文社新書<br> 羞恥心はどこへ消えた?

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光文社新書
羞恥心はどこへ消えた?

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  • サイズ 新書判/ページ数 190p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334033309
  • NDC分類 141.6
  • Cコード C0211

出版社内容情報

近年、駅や車内などで地べたに座り込む「ジベタリアン」、所構わず濃厚なラブシーンを演じる「人前キス」、電車の中で平気で化粧をする「車内化粧」など、街中での“迷惑行動”が目につくようになった。
かつて、アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトは日本を「恥の文化」であると規定した。しかし、今、この図式は成り立つのだろうか。
普段、私たちは「恥ずかしい」という感情を毎日のように体験するが、羞恥心の性質についてはあまり知られていない。人間はなぜ「恥じらう」のだろうか。「羞恥心」は何の役に立っているのだろうか。そして現代社会で何が起こっているのだろう。「恥」から見えてきたニッポンの今。

■「他人の目が気になる」から「ジブン本位」「ミニセケン」へ
「電車の中で化粧をするのは恥ずかしくない?」
「恥ずかしくない」
「彼氏の前でも化粧をするの?」
「それはありえない」

〈目 次〉
まえがき

序章 ジベタリアン現象
 ――蔓延しつつある迷惑行動

「日本人の美徳」が崩れ始めた?/見過ごせない事態/ジベタリアン、人前キス、車内化粧……/「別に構わないんじゃない」/仮説/意外な結果/若者たちのこだわり/二つの志向/若者だけの問題か

第一章 恥にまみれた人生
 ――日常生活は常に「警告」されている

「警告」される理由/「恥ずかしい体験例」を集めてみたが…/恥にまみれた人生/“落とし穴”が待っている/ビデオ店での客の不審な行動/客たちの作戦/四つのツボ/褒められても恥ずかしいのはなぜ?/「妬み」の心理/他人の期待を裏切るということ/自分の「鼻」が高くなりすぎないように/見ているだけで恥ずかしいのはなぜ?/「同類だと思われたら困る」/見るなの禁/他人のプライバシーと羞恥心/性的視線の禁/恥の壁/「シャイネス」のリスク/長所と短所/周囲の声を恐れすぎて/絶大な影響力

第二章 生きていくために必要なもの
 ――人類の歴史的産物

なぜ他者の機嫌をとらなければならないのか/サバイバルに有利に働く能力/個人が排斥される三つの要因/人類が生き延びるための道具/自分を知っているということ/ゴリラは自分を知らない/いつから「自分を知る」ようになるのか/人類共通の表情/「あらゆる表情の中で最も人間的なもの」/二つのメッセージ/「ハジ」と「テレ」/誰にも教わっていないのに

第三章 もし誰かに裸を見られたら
 ――恥の基準と多様性

坊っちゃんと天麩羅/女子大生たちのイメージギャップ/年を取れば羞恥心は消える?/性への恥じらい/年齢と羞恥心/電車内で「おなら」をしてしまったら/裸を誰かに見られたとき/日本=恥の文化?/ある国際比較調査/等質的社会の崩壊

第四章 玄関を出ればタニンの世界
 ――ジベタリアン的心性の拡大

誰の目が気になるのか/ほどほどに関係が重要な相手/「ミウチ」「タニン」「セケン」/現代日本社会に残る規範/“フツウ”はどこにある?/お金とタニン/地域社会のタニン化/地域的セケンの基準/「ジブン本位の基準」の台頭/「せまいセケン」の乱立/ルーズソックスをはかないこと/“二つの常識”の板ばさみ/心の背景/ジベタリアン現象とは/タニンの空間で勝つ者/ジベタリアン的心性の拡大

あとがき
【参考文献】

内容説明

近年、駅や車内などで地べたに座り込む「ジベタリアン」、所構わず濃厚なラブシーンを演じる「人前キス」、電車の中で平気で化粧をする「車内化粧」など、街中での“迷惑行動”が目につくようになった。かつて、アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトは日本を「恥の文化」であると規定した。しかし、今、この図式は成り立つのだろうか。普段、私たちは「恥ずかしい」という感情を毎日のように体験するが、羞恥心の性質についてはあまり知られていない。人間はなぜ「恥じらう」のだろうか。「羞恥心」は何の役に立っているのだろうか。そして現代社会で何が起こっているのだろうか。「恥」から見えてきたニッポンの今。

目次

序章 ジベタリアン現象―蔓延しつつある迷惑行動(「日本人の美徳」が崩れ始めた?;見過ごせない事態 ほか)
第1章 恥にまみれた人生―日常生活は常に「警告」されている(「警告」される理由;「恥ずかしい体験例」を集めてみたが… ほか)
第2章 生きていくための必要なもの―人類の歴史的産物(なぜ他者の機嫌をとらなければならないのか;サバイバルに有利に働く能力 ほか)
第3章 もし誰かに裸を見られたら―恥の基準と多様性(坊っちゃんと天麩羅;女子大生たちのイメージギャップ ほか)
第4章 玄関を出ればタニンの世界―ジベタリアン的心性の拡大(誰の目が気になるのか;ほどほどに関係が重要な相手 ほか)

著者等紹介

菅原健介[スガワラケンスケ]
1958年東京都生まれ。横浜国立大学教育学部心理学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程心理学専攻修了。文学博士。聖心女子大学文学部教授。専門は社会心理学、性格心理学。研究テーマは羞恥心、対人不安、自己呈示。個人の社会的適応に関わる個人の行動制御システムに関心がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スリーピージーン

9
羞恥心は消えたのではなくて、恥と感じる基準が違ってきたらしい。もちろん人は成長するものだから、恥と感じることも場合も変わってくるとは思うが、やはり狭いセケンで生きている人は何歳になろうと傍若無人にふるまうのかもしれない。私は読了後もやはり電車内でお化粧する人の気持ちは理解できない。電車内で、こってりアイメイクな若い女性が大股を広げてドーナツ食べてるのは見るに堪えない。こんどからは「この人は狭いセケンで生きてる人なんだ」と思うようにしよう。2014/06/02

氷風

9
あぁ・・・めっちゃ思い当たっちゃう言動が急激に思い出される(恥 さすがにビデオはないけど、挙動不審な行動とか日常茶飯事です。なかなか羞恥心そのものについては考えたことがなかったので興味深かったかなぁ。ちなみに中高とお弁当の時はジベタリアンでした・・・理由:大所帯で基本外で食べていたんで、たまの教室とかは全員分のイス確保出来なかったんですよね。2012/02/06

ちいちゃん

7
相手次第で羞恥心の働きは変化する。今の日本は地域社会の影響力が急速に薄れつつあるため公共空間は他人同士が集まる場所になり、結果として傍若無人な振る舞いが増えていったのではないかという主張。2016/05/06

矢田絵美里

6
★★★★☆ 羞恥心はなくなったわけではなく、ある場合において機能しなくなっただけである。友達や先生の前で失態を犯してしまった時、赤面して申し訳なさそうにするだろう。しかし、他人の前ならマナー違反をしても気にしない人が増えている。自分自身にも当てはまることがあったが、羞恥心は感じなかった。それは、著者と他人だからなのと、誰にも知られることがないからだろう。2010/09/30

まっし

4
地域社会が解体し,新たな関係性が構築されたことで以前とは異なる形に変わった羞恥心.筆者の考察は興味深いものでした.何に対して恥ずかしさを覚えるのか,という視点から社会の形が見えてくるなんて今まで考えたこともありませんでした.確かに自分はジベタリアンにもなり得るし,車内飲食をしてしまうこともあります.一方で「世間体」という言葉にいまいち実感を持てずにもいます.本書の内容は自分自身にぴったり当てはまる話だったので,すらすら読むことができました.2013/12/24

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