光文社新書<br> 明治・大正・昭和 軍隊マニュアル―人はなぜ戦場へ行ったのか

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明治・大正・昭和 軍隊マニュアル―人はなぜ戦場へ行ったのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 217p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334032579
  • NDC分類 392.1
  • Cコード C0221

内容説明

明治期から太平洋戦争期にかけて、軍隊にまつわる「決まり文句」の数々を収録した軍隊「マニュアル」とも呼ぶべき本が多数出版された。これらは、出征する兵士が住んでいる村の幹部たちが行った激励の演説、それに応えて彼ら入営者が行う挨拶などを収録したもので、当時の書店でふつうに売られていた。この軍隊「マニュアル」を読むと、軍隊という巨大な存在に対する当時の人々の迷いや不安、反抗心といった心のひだが透けて見える。本書は、徴兵・戦争という巨大な経験に、近代の人々がどう向かい合ってきたのかを、建前と本音の両面から、ひとつの通史として描く試みである。

目次

第1章 軍隊「マニュアル」の出現―明治一〇年代~日清戦争期(徴兵令の通俗解説書;教科書による兵士教育 ほか)
第2章 発達・多様化する「マニュアル」―日露戦争期(英露に対する敵愾心の昂揚;朝鮮人に対する根深い猜疑心 ほか)
第3章 平和な時代の「マニュアル」―日露戦後~大正期(なぜロシアに勝てたのか;「捕虜になるくらいなら死ね」 ほか)
第4章 どろ沼の戦争と「マニュアル」―日中・太平洋戦争期(なぜアメリカと戦争をしなければならないのか;戦争に勝つ見込みはどう説明されていたのか ほか)

著者等紹介

一ノ瀬俊也[イチノセトシヤ]
1971年福岡県生まれ。98年九州大学大学院比較社会文化研究科博士後期課程中退。博士(比較社会文化)。現在、人間文化研究機構・国立歴史民俗博物館助手
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感想・レビュー

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ちさと

34
資料集めが大変だっただろうなと思った。明治から太平洋戦争までの、兵士とその周囲の人々のために書かれた「軍隊マニュアル」の諸相を分析した本です。明治初めの兵士教科書には「トイレの使い方」なんかもあって、近代日本人の初歩的な倫理観を垣間見れたりもします。誰にでも手に入る安価なマニュアルという媒体を通じて「あるべき善良な国民」を作り上げていった陸軍。でも商品として売られているからにはお金を払ってでも読みたい読者が一定数存在していたんだなぁ。2018/10/18

樋口佳之

14
これらの史料からうかがえる陸軍の姿は、日本は神の国である、とにかく何でもいいから前進せよ、などと兵士・国民に絶叫する今日のイメージとはやや異なる。考えてみれば、できれば国民を納得ずくで「信服」させたほうが、後々都合がいいに決まっているのである。2017/03/02

Humbaba

8
軍隊に入ればマニュアルがあるが,その前段階で民間が発刊したマニュアルも存在している.それらはインフォーマルなものであるため,学術的な価値の算出は難しい.しかし,それを観察していけば,当時の日本国民の世論としての考え方の傾向というものが見えてくる.2011/10/24

おらひらお

7
2004年初版。これまでなかなか注目されていなかった心得的な軍隊マニュアルを通史的に検討したもの。ひとつひとつのマニュアルには大した価値はないのでしょうが、長い目で見ると様々なものが浮かび上がってきます。もう少し掘り下げて欲しいところもありますが、労作といえるものです。2011/11/08

なつきネコ

4
作者が言うサバイバルマニュアルみたいな本を想像していた方は、私はそちらを想像していました。しかし、読み始めると徴兵政に対する社会の考え方、または精神的な軍の捉え方が知れて面白い。結局、日本は村や世間にどう見られるかを執心し、クサイ物に蓋をしき、美麗文句で精神を惑わすのが日本と言う国なのだろうか。なにより哀しいのは戦後のマニュアルには戦死者を忘れたかのような態度。2013/11/22

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