光文社新書<br> 切腹―日本人の責任の取り方

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光文社新書
切腹―日本人の責任の取り方

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  • サイズ 新書判/ページ数 246p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334031992
  • NDC分類 156
  • Cコード C0221

内容説明

『会津藩家世実記』『加賀藩史料』などの一級史料に散見される数多の切腹。そこから見えてきたのは、武士社会の特異なあり方と、現在もなお続く、日本人固有の「責任の取り方」であった。本書では、史料に埋もれた多くの“ハラキリ逸話”に光を当て、誇り高く潔い、しかしどこか辛くて切ないサムライの生き様を探索する。

目次

第1章 ハラキリ略史(切腹の来し方;殉死と切腹 ほか)
第2章 罪と罰と切腹(喧嘩両成敗による切腹;刑罰としての切腹 ほか)
第3章 なんとも切ない切腹(藩に見捨てられた武士たち;エリート藩士の大誤算 ほか)
第4章 御家騒動と切腹(加賀藩長家の御家騒動;薩摩藩の御家騒動)
第5章 藩主と家臣―切腹に潜む臣の道(武士の命は主君のもの;飼い馴らされた武士ども)

著者等紹介

山本博文[ヤマモトヒロフミ]
1957年岡山県生まれ。東京大学文学部卒業。82年、同大学院修了。文学博士。現在、東京大学史料編纂所教授。92年、『江戸お留守居役の日記』(読売新聞社)で第四十回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

30
武士にとって切腹は名誉ある自死の手段だった。988年、袴垂の切腹が最初(19頁)。切腹は喧嘩両成敗の手段として採用したのは徳川幕府(34頁)。かぶき者:髪型、髭、服装が異彩を放つ、長脇差を差し、町を練り歩いて町人に迷惑をかける無頼の徒(80頁)。郡奉行:藩の直轄地を支配する役人で、町奉行に次ぐ要職(125頁)。オランダの牧師モンタヌスが腹切りを世界に知らしめたのは『日本誌』(158頁~)。2015/09/01

ちさと

25
腹には魂が宿るとされていたらしい。どんな事をした武士がどういう理由で切腹に至ったか、切腹一色の一冊です。近代武士道の特徴である主君絶対の観念からの自らの切腹には美しい一面がある。だけど現代に受け継がれたのは武士側の精神ではなくて、主君側のそれ。責任逃れのために切腹者を出しとけば、取り敢えずは隠蔽工作完了。美しくない。2018/09/06

かしまさ

9
「切腹」についていろんな角度から説明した本。刑罰というよりも様式美みたいなものがあったみたいです。死を美化するのは何だか違うような気もするんですが、本当に命を懸けて戦うからこその武士だったわけですね。現代には当て嵌められない考え方のはずが(命取られないにしても)詰腹切らされる的な状況だけは残ってるのはなんだかなー。Does it deserve to die?2022/02/12

shimashimaon

8
「〜記(紀)」等の一次資料を読む面白さ。多くの候文を読むことで江戸時代の感覚が直に伝わるだけでなく、著者の説明が加わることで、まるで小説を読むようでした。些細な失敗・不行跡であっても、また企画立案した施策を家老の裁可を得て実行して失敗した場合でも切腹させられたのには驚きです。養老孟司と甲野善紀が指摘するように、戦国時代と異なり身分制が固定した江戸時代が生んだ独特な制度であることがわかりました。主家の存続(世間)なくして己の人生はないから、理不尽な切腹もする。現代日本社会にも同じ空気が漂っているようです。2022/10/15

スズツキ

5
著者は新書での歴史学で著名な人物だが初読。細かいエピソードを付しながらの武士における切腹論。著者の終わりの言葉、個人が責任を取って切腹をするという態度は人間の精神としては美しいが、それが上からの強制として行われる場合は体のいい責任逃れとなる場合が多い、そのような構造は現代日本でも残っているのではないか、という言葉はあとがきの具体例と共に耳が痛い。2015/06/08

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