光文社新書
犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い

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  • サイズ 新書判/ページ数 277p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334031565
  • NDC分類 814
  • Cコード C0281

内容説明

「私が一番最初にひっかかったのは、平安時代の『大鏡』に出てくる犬の声です。「ひよ」って書いてある。頭注にも、「犬の声か」と記してあるだけなのです。私たちは、犬の声は「わん」だとばかり思っていますから、「ひよ」と書かれていてもにわかには信じられない。雛じゃあるまいし、「ひよ」なんて犬が鳴くかって思う。でも、気になる。これが、私が擬音語・擬態語に興味をもったきっかけでした。」―英語の三倍・一二〇〇種類にも及ぶという日本語の「名脇役」擬音語・擬態語の歴史と謎を、研究の第一人者が興味深く解き明かす。

目次

第1部 擬音語・擬態語の不思議(擬音語・擬態語に魅せられる;擬音語・擬態語のかたち;擬音語・擬態語の寿命;擬音語・擬態語の変化 ほか)
第2部 動物の声の不思議(昔の犬は何と鳴く;ニャンとせう―猫;チウき殺してやらう―鼠;モウモウぎうの音も出ませぬ―牛 ほか)

著者等紹介

山口仲美[ヤマグチナカミ]
1943年静岡県生まれ。埼玉大学教養学部教授。文学博士。お茶の水女子大学文教育学部国語国文学科卒。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

84
英語の3倍以上の1200種類を超える擬声語・擬態語。著者の力作『語型の変遷図』は、もれなく理解の一助。数々の事例の味わいもたっぷり。印象的なのが、平安時代の「(風の)そよ」と鎌倉時代の「(ミンミンゼミの)みうみう」。心情と季節も掛けている感。身近な生活感が漂うのが、烏の鳴き声。奈良時代の「児ろ来」、江戸時代の「嬶」は、『七つの子』の源泉のような気がしてならなかった。噺では狂言記『柿山伏』を挙げたい。オチは鳶。『笑話集・私可多噺』も捨てがたい。逃げる夫の”鳴き声”、笑うなぁ。日本の歴史と、言葉の深さを堪能。2020/06/21

へくとぱすかる

73
「びよ」の登場する狂言『柿山伏』は実際に鑑賞したことがあるし、文献をさかのぼる限り、「わん」以前が「びよ」だったことは、疑い得ない。近松門左衛門はその両方を使っている。これは日本語の不思議としか言いようがない。その謎について著者は思いきった仮説を提言しているが、それはもう日本語学を離れた、もっと広域な研究と検証を必要とするだろう。すごくおもしろい。2019/09/19

がらくたどん

71
先日読んだお洒落な大正探偵譚で「夜守の鳴声」という一節を読み、わたしはヤモリが鳴く事を始めて知った。本書は擬音語・擬態語の基本構造と歴史的変遷の第一部と動物の声の描写の変化を追った第二部の構成。なんと言っても第二部が楽しい。平安時代に「ひよ」だった犬の声が「びよ」となりついに「わんわん」になった経緯に潜む社会的な背景。鼠と雀の生活圏のリンクと隔絶。複数あった牛の鳴声界における「モー」の天下取り史。そして、狂言で「ももんが」が「モモンガ~!」と鳴く理由。私はモモンガが鳴く事も知らなかった。言葉は世界を映す♪2023/10/04

こばまり

56
古典オノマトペが満載の賑やかで楽しい解説書。犬は「びよ」、猫は「ねう」でお願いします。気に入った言葉で例文作成。「お櫃をコホロと開けるとたくさんのお饅頭。ザブザブ食べてユブユブのお腹をさすっていたところ、俄かに変調。エブエブと吐いた。」失礼致しました。2015/03/15

ばりぼー

38
英語の3倍以上と言われる日本語の擬音語・擬態語の世界を、大変わかりやすく解説した超面白本。平安時代の「大鏡」には、犬が「ひよ」と鳴いていたとあり、当時は濁音を表記しないので、「びよ」と読んだのでは?江戸時代の文献には間違いなく「びよ」と濁音表記してある箇所も。考えてみれば、英語では「bow」、ドイツ語では「bau」とどちらもバ行音なので、日本人が「びよ」「びょう」と聞き取っても何の不思議もない…というのがさわりです。ちなみに、平安時代の猫は「ねうねう」、鼠は「しうしう」、馬は「いう」と鳴いています(笑)。2013/09/12

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