出版社内容情報
20歳の時、電車にひかれて両足と利き手を失った29歳の著者。絶望を乗り越え、退院3か月後には車の免
許取得し一般雇用で就職。さらに1人暮らしを始め、お弁当を持参する日々。「ないものよりあるものを見る」
生き方に勇気をもらう人が続出し、YouTubeは9万超!メディアにも多く取り上げられ、今回初の書籍。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よつば🍀
68
人間の生命力の強さを感じる作品。装丁の写真、笑顔の青年は著者である山田千紘さん。20歳の時に駅のプラットホームから線路に転落し、利き手の右腕と両脚を失う。それだけで、どれ程の絶望を味わったのか想像に難くない。だが、この作品からは殆ど暗さを感じない。一時は自死も考えた山田さんが、退院三ヶ月後には車の免許を取得し就職。一人暮らしを始め、自炊し弁当を持参。持って生まれた性格もある故に、皆が皆、同じ様に出来るとは限らない。けれど、周りの人達に感謝しながら、前向きに生きる事を決意した彼に勇気を貰える人は多いはずだ。2022/01/10
シャコタンブルー
60
線路と笑顔を表紙にしたインパクトは凄い。何故なら著者は20歳の時に電車事故で右手、両足を失ったからだ。事故後の喪失感、絶望感は凄まじく二度も自殺をしようとする。それを思い留めたのは周囲の人達の優しさと兄弟愛だった。兄から弟(筆者)への魂のこもった電話には心が震えた。言葉の持つ力を存分に感じた。事故後も常に明るく前向きな姿勢は感嘆するし、失ったことで初めて気づく大切なもの、失う前にそれに気づき感謝して生きることの術を教えてもらった。YouTubeで事故時の出来事を対談している兄弟を見て、また涙が・・2021/09/09
がらくたどん
33
半ズボンで笑顔か!郊外の線路を背景に二本の義足と風にそよぐ右袖が「一緒に歩いてみませんか?」と誘っているようだ。自分の幼少時はまだ街中に復員して身体のどこかに欠損部を抱えた人たちが日常を送っていた。戦後の福祉関連法の整備は良く頑張ったなと感心する。でも引き換えに「標準装備」のイメージが作られて内面化され一部の人々は街から「安全な」場所に行ってしまった。法律の線引きも標準モデルのイメージもうっかりすると健常者を含めてよく見たらデコボコな力を持つはずの自分たちを分断する。彼に誘われて誰もが街に出られたら良い。2022/01/21
夜明けのランナー
13
ケガをされてから前向き、順調、と気持ちがなるまでサラッと描いているけど、想像以上の勇気が必要だったと思います。腕や足がある人も、そうでない人も暮らしている世界は一緒なのだと感じたけど、どこかで同情してしまう僕は偽善者なんだな。2021/09/25
ゆうゆう
8
なんてポジティブなんだ!YouTube知らなかった。二十歳で両足右手失う大けがを負うなんて、年金は本当に入っておいた方がいい。義肢の選択肢、義肢だけじゃなく、道具に対する選択肢が広がるような制度ってないものかしら。視力が弱い人がメガネをかけるように、その道具さえあれば、その人にとって何不自由ないのに。国立障害者リハビリテーションセンターって意外と目にする。覚えておこう。2022/03/19