アメリカン・ソドム

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  • サイズ B6判/ページ数 368p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784327471972
  • NDC分類 930.29
  • Cコード C3098

出版社内容情報

新世紀のユートピア批評が、ここに始まる!

" 汚れなき楽園アメリカ。そこでは、新たなるカナンの夢と新たなるソドムの悪夢とが表裏一体を成す。植民地時代以来のテクスト群の奥深く、エスニシティとセクシュアリティとが倒錯的に絡み合う。トマス・モートンからスザンナ・ローソン、ロイヤル・タイラーからナサニエル・カヴァリー、ジョージ・リッパードからマーク・マーリスへおよぶ作家たちは、姦通に獣姦、雑婚に同性愛、近親相姦までが跳梁する混在郷の彼方に、いかなる創造的可能性を見出したのか。アメリカ文学研究の第一人者が贈る、ニュー・アメリカニズム以後の最先端批評!

著者紹介
巽孝之(たつみ・たかゆき)
 1955年東京生まれ。コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D., 1987年)。現在、慶應義塾大学文学部教授。アメリカ文学専攻。著書に『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房、1988年)、『メタフィクションの謀略』(筑摩書房、1993年)、『ニュー・アメリカニズム――米文学思想史の物語学』(青土社、1995年)、編著に『物語のゆらめき』(南雲堂、1998年)など多数。編訳書にラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房、1995年)、共著にStorming the Reality Studio (Duke UP, 1991), In Memoriam to Postmo"

目次
序章 アメリカン・ソドム――楽園都市の魑魅魍魎
 1. 聖地ゴールドラッシュ/2. ロトの妻の言い分/3. トマス・モートンの『ニューイングランド・カナン』再考/4. 神話史実説のメタモルフォセス

第1章 若き共和国の悩み――ウィリアム・ヒル・ブラウン『共感力』
 1. アメリカ自然革命/2. 共和国最初の悪書『共感力』/3. 自殺の小説、小説の自殺/4. マーティン家の崩壊/5. 書簡は惜しみなく奪う/6. 米国メタ小説の起源/7. 若きハリントンの悩み
第2章 つれなき美女の墓前で――『シャーロット・テンプル』二部作
 1. シャーロット詣/2. アメリカン・ジャンル、アメリカン・ガール/3. メロドラマ的民主主義/4. 共和制下のファム・ファタール/5. もうひとうの奴隷解放/6. 憲法という名の肉体/7. 革命のセオリー/8. ルーシー・テンプルの修業時代/9. アメリカン・ゴシップの水脈
第3章 騙る媚態のスキャンダル――ハンナ・フォスター『放蕩娘』
 1. エリザベス・ホイットマンの悲劇/2. エライザ・ウォートンの悲劇/3. アンとエライザとヘスターと/4. ドン・ファン対ドン・キホーテ/5. 第二次大覚醒の転機/6. 独立の二つの顔/7. アンチノミアニズムとリバティニズムニアン・ソドム/5. 多文化国家のために
第7章 邪眼都市のスペクタクル――ジョージ・リッパード『クエーカー・シティ』
 1. ペンの森の兄弟愛/2. リッパードのアメリカン・ルネッサンス/3. 丘の上のソドム/4. 伝説というジャンル/5. 革命時代の暴露趣味/6. モンク・ホールの迷子/7. ソドムの市に災いあれ/8. ポルノ・ピューリタニズム/9. もうひとつの盗まれた手紙/10. 救世主ジョージ・ワシントン/11. 桃の恨み袈裟まで/12. 悪魔虫と黄金虫/13. アメリカン・アンチヒーローの系譜
終章 グローバル・カナン――丘の上の無敵
 1. アンチノミアンとインディアン/2. アメリカン・ルネッサンスと禁断の愛/3. マーク・マーリス『アメリカン・スタディーズ』/4. 結語 マルチセクシュアル・アメリカ

内容説明

汚れなき楽園アメリカ。そこでは、新たなるカナンの夢と新たなるソドムの悪夢とが表裏一体を成す。植民地時代以来のテクスト群の奥深く、エスニシティとセクシュアリティとが倒錯的に絡み合う。トマス・モートンからスザンナ・ローソン、ロイヤル・タイラーからナサニエル・カヴァリー、ジョージ・リッパードからマーク・マーリスへおよぶ作家たちは、姦通に獣姦、雑婚に同性愛、近親相姦までが跳梁する混在郷の彼方に、いかなる創造的可能性を見出したのか。アメリカ文学研究の第一人者が贈る、ニュー・アメリカニズム以後の最先端批評。

目次

序章 アメリカン・ソドム―楽園都市の魑魅魍魎
第1章 若き共和国の悩み―ウィリアム・ヒル・ブラウン『共感力』
第2章 つれなき美女の墓前で―スザンナ・ローソン『シャーロット・テンプル』二部作
第3章 騙る媚態のスキャンダル―ハンナ・フォスター『放蕩娘』
第4章 アレグロ・バルバロ―ロイヤル・タイラー『アルジェリアの捕囚』
第5章 建国時代のスラップスティック―ヒュー・ヘンリー・ブラッケンリッジ『当世風騎士道』
第6章 ハンナと戦闘姉妹たち―ナサニエル・カヴァリー『女水兵ルーシー・ブルアの遍歴』
第7章 邪眼都市のスペクタクル―ジョージ・リッパード『クエーカー・シティ』
終章 グローバル・カナン―丘の上の無敵

著者等紹介

巽孝之[タツミタカユキ]
1955年東京生まれ。コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D.、1987)。現在、慶応義塾大学文学部教授。アメリカ文学専攻。著書に『サイバーパンク・アメリカ』(勁草書房、1988年)、『メタフィクションの謀略』(筑摩書房、1993年)、『ニュー・アメリカニズム―米文学思想史の物語学』(青土社、1995年)、編著に『物語のゆらめき』(南雲堂、1998年)など多数。編訳書にラリィ・マキャフリィ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房、1995年)、共著に『Storming the Reality Studio』(Duke UP、1991)、『In Memoriam to Postmodernism』(SDSUP、1995)、『Transactions,Transgressions,Transformations』(Berghahn、2000)ほか
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感想・レビュー

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Ecriture

2
「アメリカン・カナン」と「アメリカン・ソドム」という切り口で17世紀から現代までのアメリカ文学を論じる。アメリカにとってソドム的体験はWASPの一元的社会が内部に封じ込めていた矛盾が暴かれるための契機であり、「グローバル・カナン」を目指すための通過儀礼ではなかったか。破滅や混沌だけでなく、「ソドミー」という語から同性愛やクィアの問題にまで射程を広げて幅広いながらも一貫した論を展開する。切り口の鋭さと論の手堅さ、緻密な時代・歴史考証にユーモア。文学者、芸術家、どちらを名乗ることも許されそうな名著。2010/08/30

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