絵本翻訳教室へようこそ

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  • サイズ A5判/ページ数 161p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784327451899
  • NDC分類 801.7
  • Cコード C1082

出版社内容情報

やさしいのに深みのある絵本の言葉の世界へ、ご案内します。

 絵本の翻訳には一般の文芸翻訳とは別の制約や難しさのあるものの、英文だけでなく同時に絵を読み解きながらすすめるその作業は、とても楽しいものです。受講スタイルですすめていく本書では、1冊の未訳絵本を用いて、そのストーリーを追いながら、訳すうえで重要なポイントのあるページをいくつか抜き出し、翻訳のしかたを学んでいきます。使用絵本は、シャーリー・ヒューズのAlfie Gives a Hand. 幼稚園児の日常に起こる小さな事件をリアルに、そして暖かく描いています。翻訳や絵本にまつわるエピソードのほか、著者が何年か滞在したイギリスの子育て事情についての愉快な話など、楽しいコラムも多数収録しました。

著者紹介/著者による他の著作等
灰島かり(はいじま かり)
 国際基督教大学卒業。英国のローハンプトン大学院で児童文学を学ぶ。子どもと大人のいい関係をつくろうと、教育の現場でも活躍中。著書に『こんにちは』(講談社)、『英米児童文学の宇宙』(共著、ミネルヴァ書房)、『英米児童文学ガイド』(共著、研究社出版)などがある。訳書には、P.ギャリコ『猫語の教科書』(筑摩書房)、R.サトクリフ『ケルトの白馬』(ほるぷ出版)、アン・ファイン『チューリップ・タッチ

はじめに
Chapter1 はやる気持ちを押さえて、まずはウォーミングアップ
絵本翻訳教室へようこそ/まずはウォーミングアップ/絵本は絵を訳す/シャーリー・ヒューズについて
Chapter2 離陸するのは、エネルギーが要ります
まずは絵を見る/漢字はどのくらい使う?/ポイントは招待状/<コラム1>ひらがなと漢字/<コラム2>ハハハ、笑った
Chapter3 この子は、こういう子どもなんです
メリハリをきかせる/古い毛布/<コラム3>タオルっこの絵本、お誕生会の絵本/<コラム4>翻訳で失われるもの
Chapter4 さりげないところって、案外むずかしいもの
要領よく短めに/“廊下”はすっきり訳す/そのセリフだれの?/<コラム5>あなたの問題
Chapter5 おたんじょう日のプレゼント、反応もいろいろ
文章が出てきた由来は?/押してもダメなら、引くこと/心情をくみとって訳す/<コラム6>お誕生会事情
Chapter6 最初のクライマックスはしゃぼんだま
子どもの会話を知る/擬音語と擬態語/<コラム7>オノマトペの楽しさ/<コラム8>妖しい動きと絵本翻訳
Chapter7 おたんじょう会にはバースディケーキがなくちゃね
ブンチッチッチ、ブンチッチ/英文を正しく読む/<コラム

内容説明

すぐに役立つ絵本翻訳のテクニックがいっぱい。絵本そのものの理解がグンと深まるおまけつきです。

目次

はやる気持ちを押さえて、まずはウォーミングアップ
離陸するのは、エネルギーが要ります
この子は、こういう子どもなんです
さりげないところって、案外むずかしいもの
おたんじょう日のプレゼント、反応もいろいろ
最初のクライマックスはシャボン玉
おたんじょう会にはバースディケーキがなくちゃね
小さな出来事も、子どもたちには大きなドラマ
でもいちばんのドラマは、子どもの成長です
手をつないだり転がったり、楽しいクライマックス
子どもたちを見守るお母さんの気持ち
余韻を残して、終わりましょう
一冊できあがるって、本当にうれしいこと

著者等紹介

灰島かり[ハイジマカリ]
国際基督教大学卒業。PR誌編集をへて、1994年~95年、英国のサリー大学ローハンプトン大学院で児童文学を学ぶ。子どもの本の翻訳者、研究者。白百合女子大学や朝日カルチャーセンターで教えるほか、絵本についての講演も多い。「室内楽と絵本」コンサートで絵本を読んだり、養護施設の子どもたちと絵本を作ったりと、絵本の可能性を模索中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mntmt

25
とてもわかりやすく、楽しく読めました。絵本の翻訳って深いな。日本語のセンスがとっても必要なんですね。絵を読むということの大切さもよくわかりました。絵本を読むとき、もっとよく絵を見ようと思いました。2016/08/04

かもめ通信

22
著者の訃報をうけて手にした本。翻訳教室の講演録を元にした本ではあるのだけれど,絵本の読みとき方を伝授してくれる本でもあった。1ページに1ページになんと沢山の情報が盛り込まれていることか!絵本を見る目が変わりそう。なんだかとっても新鮮だった。2016/08/26

ぽけっとももんが

9
絵本だから平易な英語だから翻訳も簡単だろう、そういう考えをばっさり。平易だからこそ伝えるのは難しい。絵本の見開きを、受講生がそれぞれ訳して、それについて灰島氏が優しく厳しく指導する。わたしでもすぐわかる英文だ。でも、それはこども自身が読むのか、親が読み聞かせるのかで違うし、ひらがなと漢字、カタカナの書き分けも考えなくてはならない。結構なボリュームだと思ったけれどもあっという間に読み終えた。こういう講座、受講してみたかったなぁ。コラムも楽しい。2021/09/19

Mio Hasegawa

6
仕事がら、持ち込みの絵本や翻訳絵本を読むことは少なくない。箸にも棒にもかからないとき、いちおうがんばって「ダメ」な理由を伝える。でも、なかなかむずかしい。それに「ダメ」がなくなったからと言って、「いい」となるとも限らない。この本には、どうしたら「いい」翻訳になるのか、理論的に、具体的に書いてある。「そうそう! こういうことなのよ〜」と、うまく言葉にできなかったことを説明してくれているのだ。これからはもう少しうまく、いい絵本にする方法を、伝えられると思う。2015/11/25

Sally

4
海外の推理小説が好きなので、翻訳によって読んだ作品の印象がガラリと変わることもしばしば。先日亡くなった翻訳家 灰島かりさんが、イギリスの絵本をテキストに架空の翻訳教室を開きます。外国語を読める、以上にぴったりした表現が日本語でできるか、つまり日本語の土台がしっかりしているかが翻訳には必要なんだと感じました。また文中で何度も仰っている「作者への理解にはホットに、読者としての点検はクールに」が、独りよがりにならずに読者の共感を得る秘訣なのでしょうね。翻訳の難しさと楽しさがぎゅうぎゅうに詰まった一冊です。2016/06/26

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