出版社内容情報
英語前置詞の意味研究を大きく前進させる最新論文
ケンブリッジ大学出版局のThe Semantics of English Prepositions (2003年刊) の翻訳書。「空間的シーン」という概念に基づき、overの詳細な分析を始めとして英語前置詞の多義体系の原理を明示する。これまでの前置詞の意味論を大きく前進させ、今後の前置詞研究の出発点となるべき好著であり、認知言語学の最先端論文でもある。監訳者・翻訳者の綿密な共同作業と犀利な監訳者注により、原著よりも利用価値の高い訳書に仕上がっている。
著者紹介
(監訳)国広哲弥(くにひろ てつや)
1929年、山口県生まれ。東京大学名誉教授。東大文学部言語学科卒。言語学・意味論専攻。著書に、『理想の国語辞典』『意味論の方法』(大修館書店)、『構造的意味論』『意味の諸相』(三省堂)、『ことばの意味 全3巻』(平凡社、共著)ほか多数。
(翻訳)木村哲也(きむら てつや)
1959年東京生まれ。SEG講師。上智大学大学院外国語学研究科修了。言語学専攻。著書に『英語らしさに迫る』『辞書という本を「読む」技術』(研究社)ほか多数。
"監訳者まえがき/原著まえがき/謝辞
第1章 意味の性質
1.0 序/1.1 単独の形態と結び付いている独立義の表示へのアプローチ/1.2 発話の解釈と意味の不完全細目化/1.3 「単純な」例: 'The cat jumped over the wall.'/1.4 背景知識の役割/1.5 言葉の辞書と百科事典/1.6 意味の概念的性質/1.7 結語
第2章 身体化された意味と空間体験
2.0 序/2.1 空間関係と意味/2.2 空間的シーン/2.3 知覚分析と意味の身体化/2.4 語彙表示の性質/2.5 経験的関連付け/2.6 知覚類似/2.7 結語
第3章 決まった手順に基づく多義性モデルを目指して:空間的シーンと概念化
3.0 序/3.1 多義の誤謬/3.2 独立義を決定するための方法論/3.3 第一義を決定するための方法論/3.4 原図形〔3.4.1 空間的シーンの見方〕/3.5 非時間性/3.6 その場に即した意味構築〔3.6.1 推論の手法〕/3.7 語用論的強化/3.8 統語法の概念的重要性/3.9 結語
第4章 overの意味ネットワーク
4.0 序/4.1 overの原図形/4.2 その場に即した意味構築/4.3 原図形を超えて:意味ネットワークにおけるその他の意義〔4.3.1 A-B-C軌道クラスター<反対側>義、<上方超過(超過I)>義、ク〔5.7.1 Downクラスター(2)(<より少ない>義(2.A)、<より劣る>儀(2.B))/5.7.2 2つの付加的意義(<1つ下>義(3)/<地形的距離>義(4))〕/5.8 結語:鉛直性の意味論
第6章 方向付けの空間辞
6.0 序/6.1 トラジェクターの垂直方向付け:upとdown/6.2 upの意味論〔6.2.1 原図形/6.2.2 upの量クラスター(<増加>義、<向上>義、<完了>義)〕/6.3 downの意味論〔6.3.1 原図形/6.3.2 downの量クラスター(<減少>義、<悪化・劣化>義、<完了>義)〕/6.4 トラジェクターの一般的方向付け:toとfor/6.5 to対for: 主目標と間接目標〔6.5.1 toの意味論(<位置>義、<接触>義、<付着>義、<比較>義、<出来事>義)/6.5.2 forの意味論(<目的>義/<目標受容者>義/<受益>義)〕/6.6 ランドマークの方向付け:in front of, before, behind, after/6.7 beforeとin front ofの語源〔6.7.1 beforeの語源/6.7.2 in front ofの語源/6.7.3 in front ofの意味論:原図形/6.7.4 機能的方向付け/6.7.5 内在的方向付けを持たないランドマーク(特別な例Ⅰ:鏡像配列/特別な例Ⅱ:方向付けの枠組み)/6.7.6 <優先>義〕/6.8 beforeの意味論クラスター(<消滅>義)/7.3.6 分節クラスター(<境界形状>義/<妨害>義)/7.3.7 再帰性(<再帰>義)〕/7.4 in対into/7.5 outの意味論〔7.5.1 outの原図形/7.5.2 原図形を超えて/7.5.3 位置クラスター(<非定位置>義、<消失>義、<完了>義)/7.5.4 内部視点クラスター(<除外>義、<不可視>義)/7.5.5 外部視点クラスター(<可視>義、<公開>義)/7.5.6 分節クラスター(<分配>義)/7.5.7 再帰性(<再帰>義)〕/7.6 ofの意味論/7.7 out対out of〔7.7.1 out ofの原図形を超えて(<離脱>義、<材源>義、<原因>義)〕/7.8 throughの意味論〔7.8.1 throughの原図形/7.8.2 through対across/7.8.3 原図形を超えて(<連続的行動>義、<時間>義、<反対側>義、<完了>義)/7.8.4 ヒルファティによるthroughの「メタファー的」意義(<伝送>義、<手段>義、<原因>義)〕/7.9 結語
第8章 結論
8.0 序/8.1 動機付けのある体系性/8.2 第二言語の学習および教育への応用可能性/8.3 限界
監訳者注/参考書目/索引
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内容説明
「空間的シーン」という概念に基づき、overの詳細な分析を始めとして英語前置詞の多義体系の原理を明示する。これまでの前置詞の意味論を大きく前進させ、今後の前置詞研究の出発点となるべき好著であり、認知言語学の最先端論文でもある。監訳者・翻訳者の綿密な共同作業と犀利な監訳者注により、原著よりも利用価値の高い訳書に仕上がっている。
目次
第1章 意味の性質
第2章 身体化された意味と空間体験
第3章 決まった手順に基づく多義性モデルを目指して:空間的シーンと概念化
第4章 overの意味ネットワーク
第5章 鉛直軸
第6章 方向付けの空間辞
第7章 有限ランドマーク
第8章 結論