出版社内容情報
『装置としての性支配』(1995年)につづく第5論集。90年代後半から今日までのフェミニズム、ジェンダー論を中心とした著者の代表的な仕事を収める。「女の時代」と呼ばれた80年代から一転して90年代のフェミニズムは、普及と拡散という事態に直面し、フェミニズム離れという現象すら起きている。少子化、晩婚化、経済不況の深刻化のなかでフェミニズムがかかえている課題を明らかにする。総論から各論へ、女性全体の問題から個別の問題へ、という時代の変化の意味を探っていく。性の商品化、性暴力、自己決定、セクハラなどの問題群をど
近代主義的な言説の孕む幾重もの屈折を解きほぐす
目次
Ⅰ
日本のフェミニズムの現在
1 普及か拡散か
2 戦後日本社会における女性
3 90年代の女性
4 90年代のフェミニズム
5 遅すぎた改革―日本の社会は活力回復に女性の力を生かせるか―
女性学・フェミニズム・ジェンダー研究
1 第二波フェミニズム運動と女性学
2 日本における女性学の成立と主婦研究―女性学創出期―
3 性役割研究からフェミニズムへ―フェミニズム理論導入期―
4 女性学からジェンダー研究へ―ジェンダー研究創出期―
ジェンダーと社会理論
1 ジェンダーというパースペクティブ
2 ジェンダー概念をめぐって
3 性役割の理論 ―第一のジェンダー概念のパースペクティブ―
4 ラディカル・フェミニズムとマルクス主義フェミニズム
―第二のジェンダー概念のパースペクティブ―
5 性別秩序の理論―第三のジェンダー概念のパースペクティブ―
女性と表現
1 なぜ表現なのか
2 変わりつつある女性表現
女性の経験や思いに焦点をあてる
1 家族をどうとらえるか
2 研究にどうとりくむか
フェミニズムから見た丸山眞男の近代
1 フェミニズムにおける日本的特質批判
2 日本におけるポストモダン・フェミニズムのねじれ
3 フェミニズムから見た丸山眞男の近代
Ⅱ
自己定義権と自己決定権―脱植民地化としてのフェミニズム―
1 はじめに
2 名前のない問題
3 フェミニズムの社会学批判―ドロシー・スミスの場合―
4 フェミニズムの道徳言語批判―キャロル・ギリガンの場合―
5 近代性批判としてのフェミニズム
6 脱植民地化としてのフェミニズム
7 自己決定権と自己定義権
自己決定をめぐるジレンマ
1 はじめに
2 自己決定権という問題を考える際前提とされるべきいくつかの論点
について
3 自己決定権をめぐる議論の錯綜
Ⅲ
セクシュアル・ハラスメントの社会問題化
1 はじめに
2 解釈装置としての規範
3 合意/強制の解釈装置におけるダブル・スタンダード
4 女性はどのように「性行為を強要された」と言えるのか
5 セクシュアル・ハラスメントの社会問題化は何をしていることになるのか
<アカハラ>を解決困難にする大学社会の構造体質
1 大学は男性支配の社会
2 大学組織と研究者集団の二重性―加害者が行使しうる権力の二重性―
3 支援者を得にくくさせる大学組織の構造体質
キャンパスにはびこるジェンダー・ハラスメント
1 女が勉強してどうなるの
2 女性院生に与える深刻な不安
3 性的分業を前提とした学問観
4 閉鎖された場所での激烈な競争
5 差別意識を生み出す不公平な扱い
Ⅳ
家族のコミュニケーション―情報化社会の中で―
1 はじめに
2 家族間コミュニケーションの現状
3 情報化が家族のコミュニケーションに及ぼす影響
4 家族を語る時代へ―家族のコミュニケーションのゆくえ
家族の危機―性役割分担否定論は、元凶か解決策か―
1 林氏と山田氏の論点
2 両者議論の相違点
3 パラサイト・シングルと家族問題
4 今、本当に必要な議論とは
男子高校生の性差意識―男女平等教育の空白域―
1 はじめに―なぜ男子高校生の意識を扱うか―
2 性差意識調査とは
3 高校生の性差意識の概要
4 共学/別学別にみた高校生の背景的要因
5 調査結果のまとめと考察―男子校における男女平等教育の必要性―
あとがき
初出一覧
内容説明
正当な地位を獲得すればするほど進む若い世代のフェミニズム離れ。それはなぜか。近代主義的な言説の孕む幾重もの屈折を解きほぐす。
目次
日本のフェミニズムの現在
女性学・フェミニズム・ジェンダー研究
ジェンダーと社会理論
女性と表現
女性の経験や思いに焦点をあてる
フェミニズムから見た丸山真男の近代
自己定義権と自己決定権―脱植民地化としてのフェミニズム
自己決定をめぐるジレンマ
セクシュアル・ハラスメントの社会問題化―性規範との関連で
「アカハラ」を解決困難にする大学社会の構造体質
キャンパスにはびこるジェンダー・ハラスメント
家族のコミュニケーション―情報化社会の中で
家族の危機―性別役割分担否定論は、元凶か解決策か
男子校高校生の性差意識―男女平等教育の空白域