出版社内容情報
三越デパートが人々の趣味,生活,教養をリードする形で文化人をまきこみ消費と娯楽と「趣味」の殿堂として社会的意味をもった明治・大正期をメディア・文化史として考察。
内容説明
明治末期、日本人の生活スタイルへの嗜好を方向づけた媒体=百貨店。文化人をまきこんで雑誌、広告コピー、イヴェントと多彩に展開された草創期の活動を照射。
目次
第1章 消費型生活のはじまり(明治末期における都市生活の変化;「趣味」の流行)
第2章 つくられるイメージ(百貨店「三越呉服店」の誕生;「今日は帝劇、明日は三越」)
第3章 「趣味」の啓蒙―流行会について(流行会の結成;流行会の軌跡;流行会から三越趣味の誕生へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aabbkon
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第1章面白く読んだ。雑誌『趣味』が坪内逍遥発信だったことに驚く。そのあと中心がどんどん変わっているのが坪内っぽい。でも高尚なものと低次なものとの間としての趣味を探ることは、自然主義文学が模索していたことと関係するし、ものではなく自分に宿る美的判断能力としての趣味tasteは、自然主義が、なぜロマン主義に簡単に接続しちゃうのか(国木田や荷風を自然主義とくくってしまうのか)を考える上でかなり重要なのではないかと思う。2014/10/28
panasonication
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17年前の本ですが、「知識人・デザイナー主導のモダン・デザイン論では取りこぼしてしまうものを拾っていく」という趣旨は現在でも通用する問題意識として参考になりました。送り手の話で終わっている感があるので、さらに消費の側面をなんとか対象化できる方法はないものかと、これは自分の課題として読みました。2011/06/20