出版社内容情報
レヴィ=ストロースの新たな読解をふまえて構造人類学の成果を問う。G.ドゥルーズ,R.ジラール,M.セール等構造主義以後の思想も俎上に載せ論理モデルを検証する。
【目 次】
序 章 構造主義のアイロニー
第1章 レヴィ=ストロースその可能性の中心―野生の形而上学
第2章 《交換》のパラドクス
第3章 二項対立のアヴァンチュール
第4章 報復闘争と暴力―《散逸機械》としての文節体系
あとがきにかえて
参考文献
内容説明
20世紀思想史の〈構造主義革命〉の項に確実に含まれるただ一人の思想家レヴィ=ストロース。その構造人類学の地下には、ポスト構造主義などによっては汲み尽くせぬ刺激的な批判=思考の水脈がある。本書はその水脈にまで掘りすすむための手引きである。
目次
序章 構造主義のアイロニー
第1章 レヴィ・ストロースその可能性の中心―野生の形而上学(「奇妙な」観念;「浮遊するシニフィアン」;「一者」に抗する形而上学)
第2章 〈交換〉のパラドクス(交換の三つの形式システム;一般交換における問題系―レヴィ=ストロースとリーチの論争;交換ゲームの接合;〈最初の贈与〉と「共同体」)
第3章 二項対立のアヴァンチュール(二項対立と二元論;流体的思考と〈1〉の形而上学)
第4章 報復闘争と暴力―〈散逸機械〉としての分散体系(〈交通〉としての戦争;禁止=交換と主体生成;ヌエルの分節体系と報復闘争;社会形成と暴力)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
4
構造主義は恣意的な分節により世界に二項対立の差異を召喚する。その差異の片項目はいわば根拠なき幻想であり、ここに形而上学の余地がある。本来、構造主義は一者の同一性を解体するような形而上学を解体させる筈のものである。以上が題にある「構造主義のパラドクス」に当たる。要するに、禁止と交換をキーワードに、内部にいる人間を生かしてきた構造が、どういう仕組みなのかを、レヴィ=ストロースを中心に考えている学術論文。時代がそうさせているのか、柄谷行人さんの文体と同じ匂いがするようなしないような。現代思想的難しさがある。2015/06/03