出版社内容情報
人と人、社会と社会などあらゆるレベルのつながりをとらえる思想と技法。合理的選択理論と並ぶ、現代社会科学の強力なパラダイム。
社会学をはじめ政治学や経営学、人類学など様々な分野でつながり・関係に着目した研究が発展を遂げている。合理的選択理論とともに、現代社会科学の土台を形成している社会ネットワーク分析の思想・歴史・モデルを体系化し、社会構造の研究からソーシャル・キャピタル研究への転回を跡づける。
関連書:安田 雪『実践ネットワーク分析』(新曜社)
第1部 社会ネットワーク分析への招待
第1章 社会ネットワークを導入する
1.1 ある社会ネットワークからの出発
1.2 社会をどうみるか──社会構造の4つの概念
1.3 社会構造はどうモデル化されるか
1.4 社会ネットワーク分析の研究態度
第2章 社会ネットワーク分析はどこからきたか
2.1 学問の発展サイクル──社会ネットワーク分析の科学社会学
2.2 プレ・パラダイム革命期──社会ネットワーク分析の前史
2.3 パラダイム革命期
2.4 ポスト・パラダイム革命期
第3章 社会ネットワーク分析にはどんな数学が必要か
3.1 社会ネットワークを表現する根本ツールとしてのグラフ
3.2 方向をもつグラフ──ダイグラフ
3.3 社会ネットワークの行列表現とその演算
3.4 特殊な諸グラフ
第2部 社会構造概念の彫琢
第4章 社会構造概念はどのように豊饒化されるか
4.1 社会構造概念のモデリング様式
4.2 古典的な社会構造の概念のモデリング──クリークの同定
第5章 ポジションとロール──地位・役割をどうモデル化するか
5.1 ポジションとロールの関係主義的な定義
5.2 ポジション=ロールのモデル化
5.3 ポジション=ロール関係の記述の仕方──ブロックモデリング
5.4 社会構造を簡約化する手順──ブロックモデリングの手順
5.5 関係の関係を分析するツール──関係代数
5.6 ローカルな個人の視点から役割関係を見る──関係ボックス
第6章 中心性──ネットワークにおける階層構造をどうモデル化するか
6.1 グラフ理論による中心概念のモデル
6.2 地位中心モデル──パワーと権威付け
6.3 新しいタイプの中心性モデル──情報・病理の伝播中心性モデル
6.4 集団の中心化傾向のモデル化
第7章 アフィリエーション・ネットワーク──個人と組織の関係をどうモデル化するか
7.1 アフィリエーション・ネットワーク
7.2 ガロア束──組織と個人の包摂関係を詳細に表す
第8章 統計的社会ネットワーク・モデル──妥協か進歩か
8.1 統計モデルと社会ネットワーク分析
8.2 トライアッド・センサスと推移性の測定
8.3 社会ネットワークのマルコフ連鎖過程モデル──社会関係の離散確率モデル
8.4 p1モデル族──結合関係の諸傾向をパラメーター化し、推定する
8.5 p*モデルの展開と統計的社会ネットワーク・モデリングの定着
第3部 ソーシャル・キャピタル研究:組織論への転回
第9章 ソーシャル・キャピタルの理論の可能性
9.1 社会ネットワーク分析は社会学にどのように受容されたか
9.2 社会ネットワーク研究のゆくえ──組織論への転回
9.3 ソーシャル・キャピタルとは何か
9.4 ソーシャル・キャピタル論の発展と論争点
9.5 ソーシャル・キャピタルの計量モデルと尺度
9.6 どうしてドナルドは支持の動員に成功したか?──社会関係資本論の観点から
第10章 社会ネットワーク分析をどう学ぶか──文献ガイド
10.1 社会空間を探索する社会ネットワーク分析への入門方法
10.2 総合的、技法的な社会ネットワーク分析の文献
10.3 7つのテーマ分類と文献ガイド
文献
あとがき
索引
内容説明
現代社会科学の「組織論的転回」。社会学をはじめ、政治学、人類学、経営学、コミュニケーション論などさまざまな分野に統一的視点をもたらしている、「関係」を読み解く技法の思想・歴史・モデルを体系化。
目次
第1部 社会ネットワーク分析への招待(社会ネットワークを導入する;社会ネットワーク分析はどこからきたか;社会ネットワーク分析にはどんな数学が必要か)
第2部 社会構造概念の彫琢(社会構造概念はどのように豊穣化されるか;ポジションとロール―地位・役割をどうモデル化するか;中心性―ネットワークにおける階層構造をどうモデル化するか ほか)
第3部 ソーシャル・キャピタル研究:組織論への転回(ソーシャル・キャピタルの理論の可能性;社会ネットワーク分析をどう学ぶか―文献ガイド)
著者等紹介
金光淳[カナミツジュン]
1960年岡山県に生まれる。1997年シカゴ大学大学院修士課程修了(M.A.)。1999年ピッツバーグ大学大学院博士課程修了。現在、財団法人政治経済研究所研究員(経済社会学、組織論、数理社会学、科学社会学)
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